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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科40巻1号

1986年01月発行

文献概要

原著

著明な心病変を伴った汎発性強皮症の1例

著者: 滝尻珍重1 佐野栄紀1 浅田秀夫1 橋本公二1 西岡清1 堀正二2 金奉賀2

所属機関: 1大阪大学医学部皮膚科教室 2大阪大学医学部第一内科教室

ページ範囲:P.41 - P.44

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 著明な心病変を伴った汎発性強皮症(以下PSSと略す)の1例を経験した.34歳,女性.20歳時Raynaud症状が出現.23歳より指趾尖端の潰瘍の出現とともに四肢末端より体幹部へ進行する皮膚硬化を来した.33歳時にはRaynaud症状の増強,皮膚硬化の急激な進行を認め,同時に呼吸困難,前胸部痛,失神発作などの心不全症状をみるようになった.入院後,胸部X線,心電図,心エコー図,心臓核医学検査等により,うっ血性心不全および心嚢液貯溜が示され,PSSに随伴して生じた心筋の線維化が示唆された.治療としてコルチコステロイド投与にて心嚢液の減少をみ,アンギオテンシン変換酵素阻害剤を併用することにより,心不全症状およびRaynaud症状の改善をみた.本症例を通じ,一般にPSSに合併する心病変は,著明なRaynaud症状および皮膚硬化の急激な進行と関連して生じている可能性が示唆された.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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