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雑誌目次

雑誌文献

臨床皮膚科40巻10号

1986年10月発行

雑誌目次

図譜_530

乳房の尖圭コンジローマ

著者: 岡本壽男 ,   都留紀子

ページ範囲:P.868 - P.869

患者22歳,主婦
初診昭和58年9月5日

図譜_531

腋窩ページェット病の1例

著者: 高橋正明 ,   野村和夫 ,   河村葉志子 ,   佐伯英明

ページ範囲:P.872 - P.873

患者65歳,男性
初診昭和57年8月30日

原著

Intravascular Papillary Endothelial Hyperplasiaの3例

著者: 原田晋 ,   山村惠造 ,   船坂陽子 ,   赤崎良太 ,   村田洋三 ,   熊野公子 ,   谷昌寛

ページ範囲:P.875 - P.880

 Intravascular papillary endothelial hyperplasia (IPEH)の3例を報告した.症例1および症例2は各々41歳,22歳の女性の手指に単発性の結節として生じ,病理組織学的には血管腔内に内皮細胞で被われた乳頭状構造を認め,Hashimotoらのいうpure formのIPEHと診断した.症例3は31歳の女性の左耳前部に生下時より存在した地図状の紅斑についてserial resectionを施行し,その際の組織所見で,標本内の1カ所に内皮細胞の著明な乳頭状の増殖を認めたものであり,portwine stainとarteriovenous malforma—tionに合併したmixed formのIPEHと診断した.また,症例1および症例2では第8因子関連抗原につきPAP法で検索したところ,乳頭状構造を被う内皮細胞細胞質内に陽性所見を得た.

血液透析患者にみられたPerforating Disorder(Acquired Perforating Disease)の2例

著者: 米田耕造 ,   尾崎元昭 ,   岡本祐之

ページ範囲:P.881 - P.885

 糖尿病性腎症による慢性腎不全により,血液透析を施行中に発症したperforating disorderの2例を報告するとともに,perforating disorderと血液透析との関連性につき文献的考察を加えた.症例1:67歳,男.血液透析開始後約2年経過して背部に角化性丘疹を生じた.組織像はreactive perforating collagenosisに合致した.症例2:53歳,男.血液透析開始後約2年経過して膝蓋部および背部に角化性丘疹を生じた.組織像はKyrle病に酷似した.以上2例は,近年報告が散見される血液透析患者にみられたperforating disorderに合致すると考えた.

Reticular Erythematous Mucinosisの1例

著者: 河野正恒 ,   原田晴美 ,   川田陽弘 ,   高田善雄

ページ範囲:P.887 - P.890

 61歳,男性の前胸部,背部の中央部ならびに耳前部に米粒大から小豆大の淡い紅斑が多発してみられ,互いに部分的に融合し,粗い網目を呈する.組織学的に真皮上層に血管周囲性のリンパ球を主体とした細胞浸潤がみられ,脂線,毛嚢周囲にもわずかに認める.また主として真皮上層は浮腫性で,膠原線維間に糸状の好塩基性物質がみられ,これはアルシャン・ブルー染色にて陽性を示し,牛睾丸ビアルロニダーゼにて完全に消化された.患者は日光浴後間もなく皮疹に気付いており,その後約2カ月で当科を受診した.

Benign Lichenoid Keratosisの2例

著者: 山田政春 ,   尾花俊作

ページ範囲:P.891 - P.895

要約 Benign lichenoid keratosisの2例について報告する.症例1は日光露出部位(前額)に生じた単発性丘疹で,症例2は被覆部位(左側胸部)に生じた単発性の色素斑である.いずれも瘙痒などの自覚症状はない.組織学的には,2例とも真皮上層に苔癬化反応を示すことが特徴である.表皮の変化については,この2例では異なっており,同一ではない.たとえば,parakeratosis,acanthosis,epidcrmal exocytosis,Civatte body,liquefaction degenerationなどがみられるが,その程度は異なっている.この2例とも悪性腫瘍の既往がある(症例1:基底細胞腫,症例2:悪性黒色腫).この疾患は何らかの機序によって表皮に変化が生じ,その部位の表皮を排除するために生じた免疫反応ではないかと考えられる.日光はその原因の一つであり,症例1がそれに当たると考えられるが,症例2には当てはまらないと考えられる.

水疱型先天性魚鱗癬様紅皮症の1例

著者: 田中栄 ,   青木育子 ,   本田まりこ ,   新村眞人

ページ範囲:P.897 - P.903

要約 水疱型先天性魚鱗癬様紅皮症の18歳,男子例を報告した.患者足蹠鱗屑より抽出したケラチン線維蛋白をSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動にて分析したところ,分子量約55,000のポリペブタイドの欠損が認められた.また患者未梢白血球中のstcroid sulfatase,α-mannosidase,β-galactosidase活性を測定したが,対照との間に差はみられなかった.治療として,etretinate 50mg/日より内服を開始し,著効を得た.副作用としては,初期に軽度の瘙痒と口唇炎がみられたのみであった.1年半後の現在,25mg/日の維持量を内服継続し,満足のゆく結果を得ている.

先天性血管拡張性大理石様皮斑,扁平母斑にモヤモヤ病をみた1例

著者: 工藤隆弘 ,   北畠雅人 ,   石川英一

ページ範囲:P.905 - P.909

 Cutis marmorata telangiectatica congenita(以下,CMTCと略す)は生下時よりみられる大理石紋様皮斑,毛細血管拡張を主徴とする疾患である.今回,CMTCに広範囲に亘る淡褐色色素斑を伴う1例を経験した.2歳,男児.家族に同症はない.正常分娩.生下時より顔面・躯幹・四肢に網状紫紅色斑と,境界鮮明な地図状淡褐色色素斑を認め,現在まで大きさ,色調に変化はない.生後4〜5カ月頃,痙攣発作が出現しモヤモヤ病と診断された.過去に国内外で報告されたCMTC114例において,広範囲の淡褐色色素斑またはモヤモヤ病の合併をみた例はないが,報告例は中胚葉系および神経外胚葉系に形成異常のみられる一種の母斑症である可能性が考えられる.

非典型的な組織像を呈したNeurofibromaの1例

著者: 勝俣道夫 ,   武田康子 ,   園田民雄 ,   三瓶清恵

ページ範囲:P.911 - P.916

 30歳,男子の左前腕に生じた15×12mmの弾性硬,表面淡紅色調で自覚症状のない腫瘤につき報告した.組織像は真皮中層から皮下脂肪織にかけ蛇行して複雑に入り組んだ被膜のない腫瘍塊で,腫瘍の大部分は円形ないし紡錘形の小型の核を有し,核の周囲にclear spaceを認める細胞集塊よりなる.一部では紡錘形の比較的大型の核を有する細胞集塊と豊富な膠原線維束塊よりなる部分も混在し,腫瘍中に多数の軸索と髄鞘よりなる神経束も認められた.免疫組織化学的検索では,S-100蛋白,myelin basic protein共に腫瘍内神経束は陽性で,腫瘍細胞は陰性であった.電顕的検索では腫瘍細胞の大部分を占める細胞は基底板を認めないものの,神経束との関係が密接なSchwann cellないしはperineural cell,endoneural cellに近縁の細胞で,腫瘍中に軸索やLuse bodyに類似した構造も散見された.以上より自験例は組織像がその典型例とは異なるもののneurofibromaに近縁の腫瘍と考えられた.

von Recklinghausen病における神経原性悪性変化

著者: 高橋博之 ,   伊東佳子 ,   三浦俊祐 ,   前田和男 ,   嵯峨賢次 ,   加藤光子 ,   神保孝一 ,   草島勝之

ページ範囲:P.917 - P.925

 von Recklinghausen病を基礎疾患とし,神経原性悪性変化を示した2症例を報告した.2症例共neurofibroma (NF)より発生したと考えられ,病理組織学的,免疫組織化学的および超徴構造的検索を施行した.免疫組織化学的には,1) S−100蛋白染色において,腫瘍細胞(Schwann cell)の悪性化あるいは低分化に伴う染色性の低下,2)β2microglobulin (β2MG)染色では腫瘍細胞の悪性化に伴うβ2MGの消失あるいは減弱化を認めた.超微構造的にはSchwann cellのbasal laminaの消失あるいは断続性を認め,良性腫瘍(NF, schwannoma)に比べ腫瘍構成細胞の鑑別が著しく困難であった.両症例共,neurofibrosarcomaに相当するmalignant peripheral nerve sheath tumorと診断し,免疫組織化学的方法が診断に有用であると考え,文献的考察を加え報告した.

Pilomatricoma様変化を伴うMixed CystとDesmoplastic Trichoepitheliomaの所見が合併していた毛包系腫瘍の1例

著者: 石倉多美子

ページ範囲:P.927 - P.931

 57歳の男の左側内眼角下方にみられた粉瘤と思われる腫瘤を組織学的に検索した.それは,(A)比較的大形の嚢腫構造,(B)小角質嚢腫を中心とし,それに連なる細長い細胞索からなる塊状物の集団,(C)それらの中間に位する線維増殖の部分,以上の3部分から成る1個の皮下腫瘍であった.(A)の嚢腫の一部は漏斗状に凹んで毛包様構造に連なり,嚢腫壁は主として表皮様角化を示したが,一部に毛包性角化もみられた.嚢腫内にはshadow cell様細胞から成る不規則形の塊状物が多数認められた.(B)の細胞索は1〜3列のbasaloid cellから成り,中心の小角質嚢腫には石灰化を示すものもあった,細胞索を囲む間質は豊富であった.この部分の構造はdesmoplastic trichoepitheliomaの組織像に一致した.(C)の部分は,強い線維増殖の中に拡張した奇形的汗管や汗腺が埋没,というのを主要所見とした.以上,本腫瘍は相互に表現の異なった3つの部分から成る1つの毛包系腫瘍と思われた.

Pigmented Spindle Cell Nevus(Tumor)

著者: 米元康蔵 ,   神崎保 ,   斉藤隆三

ページ範囲:P.933 - P.936

 54歳,女性の下肢に単発した特異な母斑細胞母斑を報告した.本例は臨床的ならびに組織学的に,いわゆるpigmented spindle cell nevus(tumor)に該当する.本症と鑑別を要するspindle cell nevus(Spitz),superficial spreading melanomaとの比較,そして特にdysplastic nevus syndromeのsolitary formとの関係について考察を加えた.

著明なC4低下を伴った全身性エリテマトーデスの男性例

著者: 大江麻里子 ,   菊池りか ,   尾立冬樹 ,   肥田野信

ページ範囲:P.937 - P.941

 38歳,男,トラック運転手.昭和60年4月顔面の浸潤あるDLE様紅斑と倦怠感の出現後,上肢に痒疹様丘疹が出現した.発熱,関節痛は欠いたが腎症を伴っていた.初診時CH5011.8U/ml, C3c 27mg/dl, C4lmg/dlと補体の著明な低下がみられたが,ステロイド内服により上昇してきた.SLEにおけるC4低下,補体欠損症とSLEとの関係,SLEの活動性と抗DNA抗体の相関についても検討した.

Tac抗原陽性の浸潤細胞を示した成人T細胞白血病の1例

著者: 花田順子 ,   相場節也 ,   田上八朗 ,   福原修

ページ範囲:P.943 - P.946

 73歳,女性.悪性リンパ腫の診断で化学療法施行中,躯幹に紅色皮疹が出現してきた.皮疹部の免疫酵素抗体法で,浸潤リンパ球は,Leu 1+,Leu 2a-,Leu 3a+,Tac抗原陽性であった.そこで成人T細胞白血病(ATL)を疑い検索したところ,ATLA抗体80倍,高Ca血症,末梢血の深い切れ込みのある核を有する腫瘍細胞の存在などATLの特徴的所見を認めた.本症はTac抗体を用いた酵素抗体法が,ATLの皮膚浸潤の診断に有用であることを示唆するものと考え報告した.

悪性リンパ腫—喀痰細胞診により肺浸潤が証明された症例

著者: 安田秀美 ,   加藤直子 ,   森尚隆 ,   足立功一 ,   小林仁 ,   桜田恵右 ,   樋口晶文 ,   小林正伸 ,   東清吾

ページ範囲:P.947 - P.952

 56歳,男性.初診の2カ月前に左大腿外側に暗赤色の結節が出現,急速に拡大した.組織学的にmalignant lymphoma,diffuse large cell type(LSG分類),large cell,immunoblastic,plasmacytoid(working formulation)inducer/helper type.結節に対し放射線療法を行うとともに化学療法(CHOP)を行ったが,経過中全身に皮疹の出現をみ,また肺浸潤,DIC症状も出現,同時に末梢血中,骨髄中に腫瘍細胞の出現をみた.白血病に準じた化学療法を行ったが中枢神経症状が出現,発症後約10カ月の経過で死亡した.腫瘍細胞は形態学的にはB細胞由来と考えられたが,表面抗原の検索ではTinducer/helpertypeを示し,形態と分化抗原の間に不一致がみられた,また肺への浸潤は喀痰細胞診により証明された.

Trichophyton violaceumによる頭部白癬の1例—症例報告と菌学的観察

著者: 仲弥 ,   増田光喜 ,   原田敬之 ,   西川武二

ページ範囲:P.953 - P.957

 Black dot ringwormからケルスス禿瘡に移行した79歳女子のTrichophyton violaceum感染症例を報告した.自験分離菌株は分離当初より,含有成分の異なる2種類のサブロー培地上で,それぞれ淡黄色湿性集落,紫紅色蝋様集落を呈した.各々の集落をそれぞれ他方の培地上で培養したところ,前者は紫紅色色素を産生し,後者は色素を失った.従来よりT.violaceumとT.glabrumの鑑別点として色素産生の有無が最重要視されているが,培地成分の差によりT.violaceumの色素産生に違いがみられたことは,両菌を同一菌種とする見解を示唆する所見と思われる.また,自験例は高齢女子で,臨床的にも病理組織学的にも屈曲した病毛が認められた.Black dot ringworm に病毛の屈曲が生じやすいこと,T.violaceumによる頭部白癬が高齢女子に発生しやすいことなどについても併せて考察した.

編集室だより

雑誌名の省略について

著者: 「臨床皮膚科」編集室

ページ範囲:P.880 - P.880

 最近,引用文献に掲載される雑誌名の略称は,1970年にAmerican National Standards Committeeから出された「International List of Perlodical Title Word Abbreviations」による略し方が,国際標準として,一般化してきました.皮膚科領域に関係のある言葉の例を下記にあげました.御投稿の際には,これらを参考にして下さい.

基本情報

臨床皮膚科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1324

印刷版ISSN 0021-4973

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