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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科40巻10号

1986年10月発行

文献概要

原著

非典型的な組織像を呈したNeurofibromaの1例

著者: 勝俣道夫1 武田康子1 園田民雄2 三瓶清恵3

所属機関: 1東京医科歯科大学医学部皮膚科教室 2伊豆逓信病院皮膚科 3関東逓信病院ウイルス研究部

ページ範囲:P.911 - P.916

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 30歳,男子の左前腕に生じた15×12mmの弾性硬,表面淡紅色調で自覚症状のない腫瘤につき報告した.組織像は真皮中層から皮下脂肪織にかけ蛇行して複雑に入り組んだ被膜のない腫瘍塊で,腫瘍の大部分は円形ないし紡錘形の小型の核を有し,核の周囲にclear spaceを認める細胞集塊よりなる.一部では紡錘形の比較的大型の核を有する細胞集塊と豊富な膠原線維束塊よりなる部分も混在し,腫瘍中に多数の軸索と髄鞘よりなる神経束も認められた.免疫組織化学的検索では,S-100蛋白,myelin basic protein共に腫瘍内神経束は陽性で,腫瘍細胞は陰性であった.電顕的検索では腫瘍細胞の大部分を占める細胞は基底板を認めないものの,神経束との関係が密接なSchwann cellないしはperineural cell,endoneural cellに近縁の細胞で,腫瘍中に軸索やLuse bodyに類似した構造も散見された.以上より自験例は組織像がその典型例とは異なるもののneurofibromaに近縁の腫瘍と考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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