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原著
Pilomatricoma様変化を伴うMixed CystとDesmoplastic Trichoepitheliomaの所見が合併していた毛包系腫瘍の1例
著者: 石倉多美子1
所属機関: 1公立石川中央病院皮膚科
ページ範囲:P.927 - P.931
文献購入ページに移動 57歳の男の左側内眼角下方にみられた粉瘤と思われる腫瘤を組織学的に検索した.それは,(A)比較的大形の嚢腫構造,(B)小角質嚢腫を中心とし,それに連なる細長い細胞索からなる塊状物の集団,(C)それらの中間に位する線維増殖の部分,以上の3部分から成る1個の皮下腫瘍であった.(A)の嚢腫の一部は漏斗状に凹んで毛包様構造に連なり,嚢腫壁は主として表皮様角化を示したが,一部に毛包性角化もみられた.嚢腫内にはshadow cell様細胞から成る不規則形の塊状物が多数認められた.(B)の細胞索は1〜3列のbasaloid cellから成り,中心の小角質嚢腫には石灰化を示すものもあった,細胞索を囲む間質は豊富であった.この部分の構造はdesmoplastic trichoepitheliomaの組織像に一致した.(C)の部分は,強い線維増殖の中に拡張した奇形的汗管や汗腺が埋没,というのを主要所見とした.以上,本腫瘍は相互に表現の異なった3つの部分から成る1つの毛包系腫瘍と思われた.
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