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雑誌目次

雑誌文献

臨床皮膚科40巻12号

1986年12月発行

雑誌目次

図譜_533

Intramuscular Hemangiomaの1例

著者: 村田洋三 ,   伴政雄 ,   山村惠造 ,   熊野公子 ,   谷昌寛

ページ範囲:P.1060 - P.1061

患者46歳,女性
初診昭和57年1月12日

原著

亜鉛華軟膏による接触皮膚炎

著者: 生野麻美子 ,   羽田俊六

ページ範囲:P.1063 - P.1066

 64歳,男性.足白癬に局方亜鉛華軟膏を外用し増悪した.パッチテストでは亜鉛華軟膏とその成分中の精製ラノリン,ウールアルコールに陽性,還元ラノリンには陰性であった.ホウ酸亜鉛華軟膏の製造中止により亜鉛華軟膏の使用量も増加する可能性があり,ラノリン皮膚炎の発生に注意する必要があろう.

ピロキシカムによる光線過敏症の3例

著者: 二瓶義道

ページ範囲:P.1067 - P.1070

 ピロキシカムによる薬剤性光線過敏症の3例を報告した.日光裸露部に小水疱が多発し,組織学的に表皮細胞間浮腫・表皮内水疱を認めた.Photopatch test陽性.なお,同剤による発症機序と関連し,in vitroでUVA+ピロキシカムによるリンパ球の刺激試験を試みたが,今回行った検索では,PHA刺激の有無にかかわらず,特に顕著な刺激効果は認められなかった.

疥癬罹患後に出現し,Darier徴候陽性を示した斑状色素沈着

著者: 木村俊次

ページ範囲:P.1071 - P.1075

要約 症例1:26歳,女.疥癬の加療間始5カ月後,上肢・臀部に瘙痒を伴う斑状色素沈着が散在多発.症例2:65歳.女.疥癬の加療開始8カ月後,躯幹に同様皮疹が散在多発.いずれも碗豆大〜指頭大,黒褐色,境界ほぼ明瞭でDarier徴候陽性,色調は均一なものと濃淡のあるものとあり.これらは痒疹性皮疹の経過中,その部とその周囲とにかけて出現し,一部の皮疹は中心部に痒疹性皮疹の名残りを留めるものあり.症例1の皮疹は組織学的に真皮上・中層の小血管周囲性に,他の浸潤細胞に混じて肥満細胞が軽度増加.2例とも副腎皮質ステロイド剤外用と抗ヒスタミン剤内服にて,皮疹・瘙痒・Darier徴候とも2〜6週後にほぼ消失した.自験2例について皮膚肥満細胞症(CM)と疥癬との両面から検討を加えたところ.Darier徴候陽性を示した発疹後色素沈着と結論された.また,Darier徴候は必ずしもCMに特異的でないことが明らかとなった.

Lupus Erythematosus Profundusならびに血管性紫斑を随伴した全身性エリテマトーデスの1例

著者: 辻岡馨 ,   米澤郁雄 ,   林正則

ページ範囲:P.1077 - P.1081

 51歳男子に発症したSLEの1例を報告した.本症例は,右下腿の有痛性皮下硬結を初発症状とし,経過中に一過性の紫斑病変が出現した.皮下硬結病変はlymphocyticpanniculitisを示し,lupus erythematosus profundusが考えられたが,病変は筋層にも及んでいた.紫斑病変は組織学的にleukocytoclastic vasculitisの所見を呈していた.

α鎖病の1例

著者: 手塚正 ,   平井玲子 ,   高橋昌江 ,   古田格 ,   大場康寛

ページ範囲:P.1083 - P.1088

 72歳男性に認められたα鎖病の稀な1例について報告した.顔面・胸腹部・背部の爪甲大までの浸潤性紅斑,頸部・腋窩・鼠径部のリンパ腺腫脹,肝脾腫が認められた.血清学的にγ—グロブリン値の低値,IgAの高値,α1—α2領域での異常なピークが認められた.尿中Bence-Jones蛋白陰性.免疫電気泳動所見,Rádlのimmunoselection plate法でIgAのH鎖のみの蛋白の産生が認められた.皮膚病変では真皮乳頭層より中層にかけて異型細胞の巣状の浸潤を認め,また,リンパ節では全域に異型形質細胞の浸潤と正常構造の破壊が認められた.抗α鎖特異的IgA抗血清を用いての免疫組織学的検討では皮膚浸潤細胞内に多数のα鎖のみの産生腫瘍矧胞を認めた.また,リンパ節では殆どの細胞がこの細胞であった.本例は本病に特有の消化器症状あるいは呼吸器症状を示さなかった点で特異な症例である.

Maffucci症候群の1例

著者: 松本和彦 ,   伊藤隆 ,   御子柴甫 ,   斎田俊明 ,   中田和義 ,   大久保裕史

ページ範囲:P.1089 - P.1093

 多発性皮膚血管腫と多発性軟骨腫を呈した6歳男子のMaffucci症候群の1例を報告した.自験例は,1)表皮母斑が存在し,2)口腔内にも血管腫が存在し,そして,3)これらすべての病変が右半身のみに出現したことにおいて特異的であった.本症候群患者には高率に中胚葉系の悪性腫瘍を合併することが知られている.このことは本症候群の特徴である血管腫と軟骨腫が,ともに中胚葉系の病変であることと共に,本症候群が中胚葉系の発生異常であることを示唆する.自験例は中胚葉系の病変に加え,表皮母斑という外胚葉系の異常を伴った興味深い症例である.

Nodular Morpheaの1例

著者: 工藤隆弘 ,   北畠雅人 ,   石川英一

ページ範囲:P.1095 - P.1098

要約 Nodular morpheaとしては稀と考えられる皮疹の列序性配列をみた1例を報告した.症例は5歳,女児.2歳頃から右上胸部,右上腕内側,右前腕屈側に軽度の瘙痒感を伴う小指頭大までの皮膚常色ないし淡褐色のわずかに隆起する結節が列序性に出現,組織学的に真皮から皮下脂肪小葉間にかけて間質性浮腫を伴う膠原線維の増生と結節状膨化,均質化を,電顕学的に膠原線維束のプライウッド構造を認め,限局性衆皮症の像と合致した.

Rhabdomyolysisによる急性腎不全にみられた皮膚石灰沈着症の1例

著者: 大郷典子 ,   河合敬一 ,   菱川秀夫 ,   土井顕 ,   鈴木隆夫 ,   宗義朗

ページ範囲:P.1099 - P.1103

 39歳,男性.夏季の高温下での激しい肉体労働とアルコール多飲によりrhabdo—myolysisを生じ,さらに急性腎不全と皮膚および血管に石灰沈着を来した.低Ca血症,高P血症も伴った.皮膚の石灰沈着は真皮の膠原線維の間,血管周囲,汗腺周囲や汗腺内に細顆粒状あるいは結晶様小塊状にみられ,表皮内にも散見されtransepidermal elimina—tionを思わせる所見と思われた.

慢性腎不全患者にみられた転移性石灰沈着の1例

著者: 花田勝美 ,   田崎理子 ,   帷子康雄 ,   平山順朗

ページ範囲:P.1105 - P.1109

 33歳,女子,慢性腎不全のため血液透析中,2年後に四肢末端皮膚に多数の砂状ないし顆粒状結石をみた転移性石灰沈着の1例を報告した.PTH10.7ng/ml,血漿カルシウム7.4mEq/lと上昇.結石のX線微小部分析ではP,Si,Ca,Al,Feを認め,表皮・真皮組織内カルシウムは550μg/g,1,667ptg/gと高値を示した.20%EDTA親水軟膏による外用療法を試みたが皮疹の消失には至らなかった.従来,自験例のような特異な臨床像を呈した報告例はみられていない.

恥丘に生じた迷入乳腺

著者: 実川久美子 ,   野崎重之 ,   上田宏一 ,   佐藤昌三 ,   安西喬

ページ範囲:P.1111 - P.1115

 35歳,女性,妊娠8カ月頃に気付かれた右側恥丘部の皮下腫瘤.産褥期に行った生検の組織像は乳汁分泌を示す迷入乳腺であった.副乳の定義,分類,組織発生学,発生部位,経過および予後について文献的考察を行った.

特異な組織所見を示したBowenoid Papulosisと思われる1例

著者: 木村俊次

ページ範囲:P.1117 - P.1120

要約 22歳,女.約10カ月来,両側大小陰唇下半部から肛囲にかけて黒褐色疣状丘疹が散在多発し,一部融合局面をなす.夜間瘙痒あり.組織学的に丘疹・局面とも表皮の乳頭腫状増殖,上半部の壊死性変化,およびその下方に多核表皮巨細胞を混じ,核小体が明瞭化した層あり.PAP法にて乳頭腫ウイルス抗原陰性.一部にブレオマイシン局注を行うも,皮疹は全体的に自然退縮傾向を示し,初診6週後には略治した.本例は明らかなボーエン病様組織像は示さなかったが,多核表皮巨細胞を混じる層が上行すればボーエン病様となるであろうことを考慮してbowenoid papulosisと診断した.本例は,bowenoid papulosisが本来良性の乳頭腫であり,腫瘍上半部の壊死性変化に続いて一過性にボーエン病様組織像を示すという考え方を支持する症例と思われた.

経過中にサルコイドーシスを合併した菌状息肉症の1例

著者: 渋谷真理子 ,   久保等 ,   渡辺信 ,   飯塚一 ,   水元俊裕 ,   高木章好

ページ範囲:P.1121 - P.1126

 27歳,女.初診の約6年前からほぼ全身に紅色皮疹が出現.生検で菌状息肉症と診断し,外用療法,化学療法,電子線照射療法等で治療を行っていた.経過中にbilatcralhilar lymphadcnopathy(BHL)が出現,一過性に両下腿にも類上皮細胞肉芽腫からなる結節が生じ,当初はsarcoid reactionと考えた.しかし,約1年半後,BHLが再発.生検で前斜角筋リンパ節および左右主気管支リンパ節に類上波細胞肉芽腫が認められ,血清アンギオテンシン変換酵素,リゾチーム高値などの検査成績も勘案してサルコイドーシスの合併と判断した.悪性腫瘍とサルコイドーシスあるいはsarcoid reactionの関係について文献的に考察した.

白血病患者にみられた再発性の限局性ジベルばら色粃糠疹様皮疹の1例

著者: 佐々木由美子 ,   相場節也 ,   宇塚善郎

ページ範囲:P.1127 - P.1131

 31歳,男性.Acute myelomonocytic leukemia (AMMoL)で加療中,再発性に右胸部から右大腿部にかけて限局性にジベルばら色粃糠疹様の皮疹を呈した特異な症例について報告した.皮疹はAMMoLに対する化学療法中,白血球数の減少に伴って2回,再発した.皮疹出現時の免疫学的検索において,末梢血中のLeu 3a/2aの比率の逆転と組織におけるLeu−2a優位のT細胞の浸潤が認められた.これらの所見はLeu−2a,即ちsuppressor/cytotoxic T細胞が自験例のジベルばら色粃糠疹様の病像形成に,何らかの役割を果たしている可能性を示唆するものである.

成人T細胞性白血病の1例

著者: 坂寛子 ,   石垣優 ,   梅村忠弘 ,   福谷久 ,   佐竹立成

ページ範囲:P.1133 - P.1137

 68歳,女性.鹿児島県生まれ.咽頭真菌症を初発症状とし,後に皮疹,リンパ節腫脹を呈し,末梢血と髄液中に腫瘍細胞の出現をみたATLの1例を経験した.多剤併用化学療法を行うも抵抗性で,真菌性敗血症を併発し全経過6カ月で死亡した.本例はくすぶり型ATLが急性転化したものと考えられた,皮膚とリンパ節とに組織学的な違いがあり,皮膚組織に悪性リンパ腫の分類を当てはめるのは不適当と思われた.加療により,両組織において共に大型細胞が減少し,大型の腫瘍細胞は抗腫瘍剤に感受性を示すが,小型の細胞は抵抗性であると考えられた.

紅色陰癬の3例

著者: 岩嵜哲夫 ,   村国穣 ,   露木重明

ページ範囲:P.1141 - P.1146

 紅色陰癬の3例を報告し,併せて螢光顕微鏡下におけるウッド螢光陽性鱗屑の螢光の経時的変化,各種培地(Modified Muller-Hinton培地,血液寒天培地,1%小川培地)における集落の螢光持続日数の相違およびその菌学的性状に関して観察した.採取した鱗屑は,自然放置の乾燥状態のもとでは2〜3日で螢光を失うが,無螢光封入液(グリセリン)で封入した状態にしておくと2〜4週間螢光を持続した.血液寒天培地,Modified Muller-Hinton培地,1%小川培地の順に螢光持続日数が長く,それぞれ2〜4週間,1〜3週間,3〜7日間であった.菌学的性状は,Sarkanyらの同定したCorynebacterium minutissmumに極めて類似しており,fluorescent diphtheroidsに当てはめると,症例1はgroup 1,症例2と症例3はgroup 2に近いものと思われた.

編集室だより

雑誌名の省略について

著者: 「臨床皮膚科」編集室

ページ範囲:P.1093 - P.1093

 最近,引用文献に掲載される雑誌名の略称は,1970年にAmerican National Standards Committeeから出された「International List of Periodical Title Word Abbreviations」による略し方が,国際標準として,一般化してきました.皮膚科領域に関係のある言葉の例を下記にあげました.御投稿の際には,これらを参考にして下さい.

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臨床皮膚科 第40巻 総索引

ページ範囲:P. - P.

基本情報

臨床皮膚科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1324

印刷版ISSN 0021-4973

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