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原著
疥癬罹患後に出現し,Darier徴候陽性を示した斑状色素沈着
著者: 木村俊次1
所属機関: 1国家公務員等共済組合連合会立川病院皮膚科
ページ範囲:P.1071 - P.1075
文献購入ページに移動要約 症例1:26歳,女.疥癬の加療間始5カ月後,上肢・臀部に瘙痒を伴う斑状色素沈着が散在多発.症例2:65歳.女.疥癬の加療開始8カ月後,躯幹に同様皮疹が散在多発.いずれも碗豆大〜指頭大,黒褐色,境界ほぼ明瞭でDarier徴候陽性,色調は均一なものと濃淡のあるものとあり.これらは痒疹性皮疹の経過中,その部とその周囲とにかけて出現し,一部の皮疹は中心部に痒疹性皮疹の名残りを留めるものあり.症例1の皮疹は組織学的に真皮上・中層の小血管周囲性に,他の浸潤細胞に混じて肥満細胞が軽度増加.2例とも副腎皮質ステロイド剤外用と抗ヒスタミン剤内服にて,皮疹・瘙痒・Darier徴候とも2〜6週後にほぼ消失した.自験2例について皮膚肥満細胞症(CM)と疥癬との両面から検討を加えたところ.Darier徴候陽性を示した発疹後色素沈着と結論された.また,Darier徴候は必ずしもCMに特異的でないことが明らかとなった.
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