icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科40巻12号

1986年12月発行

原著

α鎖病の1例

著者: 手塚正1 平井玲子1 高橋昌江1 古田格2 大場康寛2

所属機関: 1近畿大学医学部皮膚科教室 2近畿大学医学部臨床病理学教室

ページ範囲:P.1083 - P.1088

文献概要

 72歳男性に認められたα鎖病の稀な1例について報告した.顔面・胸腹部・背部の爪甲大までの浸潤性紅斑,頸部・腋窩・鼠径部のリンパ腺腫脹,肝脾腫が認められた.血清学的にγ—グロブリン値の低値,IgAの高値,α1—α2領域での異常なピークが認められた.尿中Bence-Jones蛋白陰性.免疫電気泳動所見,Rádlのimmunoselection plate法でIgAのH鎖のみの蛋白の産生が認められた.皮膚病変では真皮乳頭層より中層にかけて異型細胞の巣状の浸潤を認め,また,リンパ節では全域に異型形質細胞の浸潤と正常構造の破壊が認められた.抗α鎖特異的IgA抗血清を用いての免疫組織学的検討では皮膚浸潤細胞内に多数のα鎖のみの産生腫瘍矧胞を認めた.また,リンパ節では殆どの細胞がこの細胞であった.本例は本病に特有の消化器症状あるいは呼吸器症状を示さなかった点で特異な症例である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら