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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科40巻2号

1986年02月発行

文献概要

原著

Mycobacterium marinum感染症の1例—硫酸アミカシンによる治療例

著者: 新井裕子1 中嶋弘1 内藤静夫1 黒沢伝枝1 亀田洋1 神永陽一郎2

所属機関: 1横浜市立大学医学部皮膚科教室 2横浜市立大学医学部検査室

ページ範囲:P.165 - P.168

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 硫酸アミカシン(AMK)が奏効したMycobacterium (以下M.) marinum皮膚感染症の1例を報告した.また,同薬剤に対する本菌の試験管内感受性成績を報告した.
 症例:71歳,男性,魚類飼育を趣味とする.初診の3.5カ月前に受けた左手の小外傷創が治癒せず浸潤,硬結に発展.現症:左手背にびまん性の浸潤性紅斑と一部硬結,漿液性丘疹,小膿疱,点状潰瘍が混在し,鱗屑,痂皮が付着する.左前腕にもびまん性の潮紅と鱗屑を伴う,領域リンパ節腫脹なし.生検組織学的所見は化膿性,肉芽腫性反応で,組織標本内に菌要素は検出されない.組織片からの分離株は細菌学的にM.marinumと同定された.ツ反陽性.AMKは200mg/1日7日間,100mg/1日9日間連続で,その後200mg/1日週2回で3週間,筋注で投与し治癒した.AMKの総量3,500mg,治療期間は6週間を要した.AMKの自験分離菌株に対するMICは0.78μg/mlであった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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