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雑誌目次

雑誌文献

臨床皮膚科40巻3号

1986年03月発行

雑誌目次

図譜・521

梅毒2期疹

著者: 稲垣安紀 ,   幸田衞 ,   中川昌次郎

ページ範囲:P.196 - P.197

患者36歳,女性,サービス業
初診昭和55年10月1日

原著

白斑黒皮症様皮疹を呈したSjögren症候群の1例

著者: 平岩厚郎 ,   安江隆

ページ範囲:P.199 - P.202

 両耳前部に白斑黒皮症様皮疹を呈したSjögren症候群の82歳女子症例を報告した.その組織所見は,尋常性白斑や通常の白斑黒皮症のものとは異なっており,従来報告されているSjögren症候群の各種の紅斑における組織学的所見と多くの点で一致していた.また,頤部にその先行皮疹と思われる不定形滲出性紅斑が認められたが,その組織所見も前者のそれと一致していた.螢光抗体法にて,白斑黒皮症様皮疹部の表皮真皮間基底膜部にIgG,IgA,IgMの沈着が認められたが,紅斑部や臀部の無疹部では,それらの沈着は認められなかった.

骨関節炎を伴った掌蹠膿疱症の3例

著者: 坂井秀彰 ,   川島愛雄 ,   井上一彦 ,   国下正英

ページ範囲:P.203 - P.207

 3例(62歳,63歳,35歳いずれも女性)の骨関節炎を伴った掌蹠膿疱症を報告した.胸肋鎖関節局辺の異常は全例に認められたが,ほかに第1例では腰椎に,第2例では左大腿骨に異常を認めた.診断のためのスクリーニングには,全身骨シンチグラムが有用で,確定診断には骨の単純および断層撮影が必要であった.自覚的には運動時の痛み,屈曲障害,歩行障害を訴え,これらは非ステロイド系消炎剤が有効であった.

多発性消化管潰瘍を伴ったLeukocytoclastic Vasculitisの1例

著者: 村松隆一 ,   小泉洋子 ,   青柳俊 ,   金子史男 ,   阿部一九夫 ,   前久保博士 ,   長沼睦雄

ページ範囲:P.209 - P.213

 43歳,男性.発熱,両上肢のしびれ,口腔内・胸・腋窩の発疹を主訴として来院した.下口唇,軟口蓋に不整形潰瘍があり,左胸部・両側腋窩・陰茎・肛門部には壊死性水疱と潰瘍を伴った鮮紅色浸潤性紅斑が認められた.多発性食道・胃・十二指腸潰瘍と上腕神経叢神経炎も伴っていた.皮膚病理組織学的には,真皮全層に多核白血球が稠密に浸潤し,小血管壁の強い破壊が認められ,lcukocytoclastic vasculitisの像であった.多発性腸管潰瘍穿孔による腹膜炎を起こして死亡した.

Variant型色素性乾皮症の1例

著者: 上田宏一 ,   高橋博之 ,   西尾千恵子 ,   高橋誠 ,   久保喜平

ページ範囲:P.215 - P.219

 48歳,男性.5,6歳頃より,日光露出部の色素沈着として発症.雀卵斑様色素斑も徐々に出現した.また,初診の1年前より下口唇に腫瘍が発生し,さらに初診時,上口唇と鼻背部には小腫瘍が数個存在した.前者は有棘細胞癌,後者は基底細胞上皮腫であった.光線感受性試験は,MEDが照射後24時間で反応はピークを示し,UVAに対し軽度低下,UVBに対しては軽度上昇傾向を示した.患者の培養線維芽細胞は,UV感受性の増加と,不定期DNA合成能(UDSと略)がほぼ100%であることが証明された.以上より,xeroderma pigmentosum (XP) variant typeと診断された.

前立腺癌を合併したEosinophilic Cellulitisの1例

著者: 太居英夫 ,   金子佳照

ページ範囲:P.221 - P.224

 67歳,男性のcosinophilic cellulitisの1例を報告した.右足背に急性蜂窩織炎に類似した浸潤性局面が急速に拡大し,水疱,肉芽腫性変化を経て治癒した.組織像は好酸球,組織球,好酸性顆粒が,変性した膠原線維を取り囲み肉芽腫を形成している.好酸球数18%.前立腺癌を合併し,臨床経過より本例では本症と癌との関係が示唆される.

Pingranliquoseと思われる1例

著者: 秋山尚範 ,   多田讓治

ページ範囲:P.225 - P.228

 46歳,女性のpingranliquoseと思われる1例を報告した.本症は動脈硬化症に伴う皮下脂肪織炎の1型とされ,その臨床像は下腹部から腰臀部に多発する固い皮下結節ないし皮下腫瘤であり,病理組織学的には結合組織よりなる嚢腫である.自験例は皮下脂肪織炎に罹患3年後より腰部を中心に固い皮下結節が多発し,組織学的には結合組織よりなる嚢腫を呈し,周囲の血管壁の肥厚を認めた点より本症と診断した.

結節性アミロイドーシスの1例

著者: 長田浩行 ,   稲垣安紀 ,   武井洋二 ,   植木宏明 ,   中川定明

ページ範囲:P.229 - P.233

 64歳,女性.約2年前より徐々に増大する左下腿外側の皮下結節を主訴に来院.皮膚は常色で隆起を認めず,皮内から皮下組織にかけて硬い結節を触知し,下床と癒着していた.組織では.真皮下層から筋膜直上部にかけてエオジン淡染性の無構造物質が,びまん性あるいは塊状に沈着.アルカリ・コンゴー赤染色陽性.偏光顕微鏡下に緑色の複屈折を呈し,さらに電顕所見からアミロイドと同定した.また酵素抗体法による検索で,沈着したアミロイドは,AL (λ)型由来と考えられた.全身を精査したが,特に異常を認めず,限局性,原発性の結節性アミロイドーシスと診断した.

Reticular Erythematous Mucinosis Syndrome

著者: 稲垣安紀 ,   長田浩行 ,   武井洋二 ,   幸田衞 ,   植木宏明 ,   福屋崇

ページ範囲:P.237 - P.240

要約 60歳,男性,会社員,前胸部と背都に軽度の瘙痒を伴う網状浸潤性紅斑と色素沈着を認めたreticular erythematous mucinosis syndrome(Steigleder;19741〜3))の1例を報告した.全身状態は良好であったが,臨床検査上,境界型糖尿病および脂肪肝の所見を認めた.日光過敏を思わせる所見は得られなかった.背部の病変の病理組織検査上,表皮に著変はなく,真皮最上層を除く中下層にalcian blue染色陽性,toluidine blue染色で異染性を示し,hyaluronidase感受性で,mucicarmine染色陰性のムチン沈着を認めた.また,同部に一致してbipolar fibroblastを少数認めた.真皮内の血管周囲および付属器周囲には小円形細胞浸潤を認めた.病変部に対する日光照射を避けるように生活指導を行い,ステロイド剤外用および抗ヒスタミン剤の内服により瘙痒と紅斑の減少を認めたが,局所の浸潤は消失していない.

血漿交換療法を施行した水疱性類天疱瘡の1例

著者: 木花いづみ ,   山崎雄一郎 ,   籏野倫

ページ範囲:P.241 - P.246

 症例は67歳の男性で,発症から約10カ月間は,明らかな水疱形成の認められない非典型的な水疱性類天疱瘡であった.ステロイドの内服で一時軽快していたが,初診より8カ月後再燃し,初めて典型的な臨床像を呈した.再燃後は大量のステロイドに反応せず,しかも糖尿病の増悪をみたため血漿交換療法を併用したところ皮疹の急速な軽快をみた.血漿交換療法施行前後において血中IgG抗基底膜抗体価,補体結合性抗基底膜抗体価をそれぞれ検討したところ,前者は有意に低下し,後者は完全に陰性化した.一般に類天疱瘡の病勢と血中抗体価の変動とは必ずしも一致しないとされているが,今回の結果からは血漿交換療法による症状の改善の理由づけとして自己抗体,特に補体結合性抗体の除去という点が大きな比重を占めるのではないかと推定された.

Generalized Hair Follicle Hamartomaの1例

著者: 宮川俊一 ,   荒木由紀夫 ,   菅原信

ページ範囲:P.247 - P.251

 52歳,女性.約10年前より眉毛脱落に気付いた.脱毛は徐々に腋窩,外陰,頭部に拡大.顔面には蝶形脱色素斑を認め,眉部,鼻,鼻周囲,口囲には浸潤性局面,丘疹を認める.躯幹,四肢の毳毛は脱落している.多発性関節炎,肺炎様症状を繰り返しているが,重症筋無力症の症状はない,検査所見としては抗核抗体陽性,RAHA陽性,抗アセチルコリン受容体抗体陰性.組織学的に脱毛部,顔面小丘疹,浸潤局面とも毛嚢と連続性を有する基底細胞様細胞増殖像を認めた.以上より自験例をgeneralized hair folliclehamartomaと診断した.本症は1969年Brownらにより初めて報告されて以来,Ridley &Smithが1例の追加報告をしているにすぎず,我々が調べ得た限りでは本邦第1例と思われる.

皮膚腫瘍におけるCarcinoembryonic Antigen

著者: 勝見伸也 ,   赤井昭

ページ範囲:P.253 - P.257

 原発性皮膚腫瘍25例におけるcarcinoembryonic antigen (CEA)をperoxidaseantiperoxiclase (PAP)法にて検索した.正常皮膚の構成要素でCEA陽性を示すものは汗器官以外になかった.汗器官におけるCEA陽性反応は分泌部細胞の胞体内ならびに管腔内貯留物にみられ,汗器官の腫瘍は全例で種々の程度のCEA陽性を示した.汗器官以外の原発性皮膚腫瘍は全てCEA陰性であった.Paget病のCEA陽性反応は陰部Paget病が最も強く,腋窩,次いで乳房Pagct病の順に弱かった.エクリン腺由来と思われる腫瘍ではCEA陽性反応は真皮内のもので強く,殊に澄明細胞に一致して見られたことから,これが分泌部細胞への分化を意味するものと考えた.CEA陰性でも汗腺腫瘍を否定することはできないが,CEA陽性ということは皮膚腫瘍の診断上大きな意味を持つものと考えられ,それに適合する自験2例について述べた.

Eccrine Porocarcinomaの1例

著者: 藤山純一 ,   内平孝雄 ,   亀井敏昭

ページ範囲:P.259 - P.263

 71歳,女子.約10年前より,左腰部の黒色皮疹に気づいていたが放置していた.初診6カ月前より,左鼠径部の皮下腫瘤を触知したため近医を受診した.摘出を行った結果,癌のリンパ節転移と診断され,内臓悪性腫瘍の検索を行ったが原発巣となる病変を認めえなかったため,腰部の皮疹を主訴に山口県立中央病院皮膚科を受診した.Bowen癌の術前診断で切除し病理組織学的検討を行った.その結果,小管腔様構造を有し巣状に増生する腫瘍細胞が真皮内に認められ,表皮内には孤立性腫瘍巣(Paget現象)が認められた.また,電顕的には表皮内エックリン汗管に由来もしくは分化すると考えられる管腔構造を有する腫瘍細胞が認められたため,eccrine porocarcinomaと診断した.

Poroma Folliculareの1例

著者: 岩崎光順 ,   藤田優

ページ範囲:P.265 - P.268

 44歳,女性の顔面に生じたporoma folliculareの1例を報告した.組織学的に外層を構成するbasaloid cell,内層を構成するsquamoid cell, pigment blockade melanocyte,squamous eddicsがみられ,炎症性細胞浸潤が少なく,毛嚢との連続性,clear cell,角質塊とsquamous eddiesに大型〜微小ケラトピアリン顆粒の存在,trichilemmal keratiniza—tionに合併して微細顆粒の存在がみられた.自験例は森岡の毛包腫瘍の組織学的診断基準より考え,毛包性分化を呈する腫瘍であると考えた.

皮膚病変を伴ったMalignant B-cell Lymphomaの1例

著者: 湯正明 ,   森田秀樹 ,   相模成一郎

ページ範囲:P.269 - P.272

 73歳女性.初診1カ月前に左肩部に自覚症状を欠く小指頭大の皮下結節が出現し,その後同様の皮疹が頸部,躯幹,顔面にも出現してきた.当科にて組織検査によりB-cell typeのmalignant lymphomaと診断され入院となる.インターフェロン—γの全身投与を行うも効果を認めず,ステロイドの単独投与でも反応は認められなかったが,全身状態を考慮して比較的少量のCOP療法を施行したところ,寛解を得ることができた.

Microsporum gypseumによる白癬の5例

著者: 出光俊郎

ページ範囲:P.273 - P.277

 最近3年間において当科で経験したMicrosporum gypseumによる生毛部浅在性白癬の5例について報告する.1)男女比は1:4で女性に多く,5例中3例は12歳以下の小児であった.このなかには生後17日の男児例も含まれており本邦最年少例と思われる.2)発生部位はいずれも顔面ないし膝部であり,うち1例は膝の外傷に続発して発症した.3)臨床病型では4例が斑状小水疱性白癬であり,他の1例はいわゆる異型白癬の像を呈した.4)5例中4例はペットないし家畜を飼育しており動物との関連が示唆された.本菌による白癬では従来より.感染経路として土壌からの直接感染あるいは動物からの感染が問題となっているが,特に農村地域においては家畜との接触に加えて菌量の豊富な土壌と直接接触する生活環境が発症に大きく関与しているものと考えられる.

編集室だより

雑誌名の省略について フリーアクセス

著者: 「臨床皮膚科」編集室

ページ範囲:P.219 - P.219

 最近,引用文献に掲載される雑誌名の略称は,1970年にAmerican National Standards Committeeから出された「International List of Perlodical Title Word Abbreviations」による略し方が,国際標準として,一般化してきました.皮膚科領域に関係のある言葉の例を下記にあげました.御投稿の際には,これらを参考にして下さい.

基本情報

臨床皮膚科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1324

印刷版ISSN 0021-4973

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