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原著
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症例は67歳の男性で,発症から約10カ月間は,明らかな水疱形成の認められない非典型的な水疱性類天疱瘡であった.ステロイドの内服で一時軽快していたが,初診より8カ月後再燃し,初めて典型的な臨床像を呈した.再燃後は大量のステロイドに反応せず,しかも糖尿病の増悪をみたため血漿交換療法を併用したところ皮疹の急速な軽快をみた.血漿交換療法施行前後において血中IgG抗基底膜抗体価,補体結合性抗基底膜抗体価をそれぞれ検討したところ,前者は有意に低下し,後者は完全に陰性化した.一般に類天疱瘡の病勢と血中抗体価の変動とは必ずしも一致しないとされているが,今回の結果からは血漿交換療法による症状の改善の理由づけとして自己抗体,特に補体結合性抗体の除去という点が大きな比重を占めるのではないかと推定された.
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