47歳,男性.初診の約7年前より頸部に腫瘤が出現し,増大傾向あるも放置していたところ,約1年前より両手に結節が多発してきた.臨床検査成績で甲状腺機能,血清生化学,免疫血清学的検査に異常所見はなかった.病理組織学的に真皮上層の著明な浮腫と膠原線維の離開,断裂像があり,同部位にムチンの沈着を認めた.頸部腫瘤の摘出標本ではpapillary-follicular combined typeのadenocarcinoma of thyroidであった.癌腫の摘出により皮疹の改善がみられたことから,この皮疹の形成に甲状腺癌が関与しているものと考えたい.