文献詳細
原著
文献概要
40歳,女性,2カ月前より左鼠径リンパ節が腫大し,2週間前,近医を受診し,摘出術施行後来院.6年前,左臀部に灰黒色小腫瘤が出現し,1年前より縮小褪色しているとのことであった.組織学的に,リンパ節では悪性黒色腫の転移像が認められ,左臀部色素斑では,真皮上層に多数のmelanophageとリンパ球浸潤,小血管の増生がみられるが,melanoma cellは認められなかった.他の全身皮膚,粘膜,直腸,S状結腸,腟,子宮に異常所見はなく,左臀部の小腫瘤が原発巣と考えられた.原発巣が消褪し,所属リンパ節転移を生じた悪性黒色腫の1例を報告するとともに,悪性黒色腫の原発巣の自然消褪例について,若干の文献的考察を試みたので,加えて報告する.
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