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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科40巻6号

1986年06月発行

原著

水疱形成をみたATTLの1例

著者: 飯島茂子1 堀内早苗1 佐久間満里子1 高橋秀東1 上野賢一1 森尚義2

所属機関: 1筑波大学臨床医学系皮膚科 2筑波大学基礎医学系病理

ページ範囲:P.489 - P.496

文献概要

 48歳,男.昭和58年から易疲労感出現.翌年6月,全身の紫紅色斑と頸部リンパ節腫脹が出現し10日程で消失.その2カ月後同症状が再発し,軽快ないまま,3週後より熱発と紅色結節が出現.10月本院入院時,紫紅色丘疹,紅色結節に加えて,背部には右側に強く水疱が集簇性に多発していた.表在リンパ節腫脹,肝脾腫あり.皮膚生検にて真皮上層に血管周囲性の異型リンパ球浸潤を認め,水疱は表皮下水疱を示した.末梢血11%,骨髄4.8%に異型リンパ球が出現し,E-rosettes 85%,Leu 3 86.3%よりhelper T細胞の性格で,抗ATLA抗体陽性であった.末梢血異型リンパ球は電顕上,分葉状核があり,皮膚のT細胞リンパ腫の中でもATLLとも見なしうると考えられた.皮疹初発より5カ月で死亡.特異疹としての水疱は皮膚の悪性リンパ腫やATLLでも稀で,今までに2例報告されているにすぎない.電顕では表皮突起部角化細胞内にもtubuloreticular structureが認められた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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