臨床皮膚科40巻6号

1986年06月発行

原著

顔面に単発したCutaneous T cell Lymphomaの1例

著者： 太田みどり¹ 戸田浄¹ 薬丸一洋² 三方淳男³

所属機関： ¹東京逓信病院皮膚科 ²東京逓信病院第一臨床検査科 ³慶応義塾大学医学部病理学教室

ページ範囲：P.543 - P.547

　症例は54歳男性．初診時，右頬部に5×9mm，表面に光沢のある境界明瞭な鮮紅色扁平隆起を認めた．組織所見からdiffuse lymphoma, pleomorphic typeと診断．免疫染色で，腫瘍細胞はhelper／inducer T cellの形質を示した．　ATLA抗体は5倍以下，全身リンパ節，骨髄に異常はなく，摘出術後，現在経過観察中である．皮膚のみに単発，限局したmalignant lymphomaは稀であり，それについて文献的考察を加えた．