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雑誌目次

雑誌文献

臨床皮膚科40巻7号

1986年07月発行

雑誌目次

図譜・525

線状配列を示したSyringocystadenoma Papilliferum

著者: 高橋祥公 ,   谷藤順士

ページ範囲:P.604 - P.605

患者15歳,女性
 家族歴・既往歴特記すべきことなし.

図譜・526

尋常性狼瘡

著者: 長尾洋 ,   赤木正子

ページ範囲:P.608 - P.609

患者52歳,女性
初診昭和58年5月24日

原著

Pigmented Fungiform Papillae of the Tongueの1例

著者: 横山博之 ,   伊藤雅章 ,   結城恵 ,   佐藤信輔 ,   佐藤良夫

ページ範囲:P.611 - P.615

 舌茸状乳頭に一致したメラニン沈着を来すpigmented fungiform papillae of thetongucの1例を経験し,電顕的観察を行った.舌尖〜両側舌側縁にかけ集簇性に自覚症状のない黒褐色点状色素沈着をみる.組織学的に点状色素沈着は舌茸状乳頭の分布に一致する.即ち,その上皮内の基底層に明澄細胞の増加とその付近のメラニン色素の増加,固有層上層にincontinentia pigmentiをみる.電顕的に基底層に比較的多数のmelanosomeを産生するmelanocyteを認め,また基底板の乱れがみられる.Melanocyteの腫瘍性増殖はなく,本症は反応性のものと考えられる.自験例は本邦初報告例と思われる.

Metastatic Adenocarcinomaと誤診されたEpithelioid Hemangioendotheliomaの1例

著者: 太田智秋 ,   上出康二 ,   松中成浩 ,   西野栄世

ページ範囲:P.617 - P.622

 59歳女性の前胸部に約1年半前より小腫瘤が生じ,徐々に増大し赤色小豆大腫瘤となった.近医で生検を受けmetastatic adenocarcinomaと診断され,腹部CT・胃内視鏡・注腸透視等精査をされたが原発巣は見つからなかった.光顕で,真皮上層を除いてびまん性にepithelioid〜histiocytoidの異型性を示す腫瘍細胞がmyxoid stroma中に存在し,一部はsingle cell vacuolizationを呈し,第Ⅷ因子関連抗原PAP法にて陽性所見を示した.置顕では,腫瘍細胞はbasal laminaで囲まれ,cytoplasmic vacuolizationを示した.これらの所見からepithelioid hemangloendotheliomaと診断した.

Sjögren症候群を併発したAmyloidosis Cutis Nodularis Atrophicansの1例

著者: 青木重信 ,   平本力 ,   金澤一也 ,   藤條善彦 ,   北島康雄 ,   矢尾板英夫 ,   武田智 ,   狩野庄吾

ページ範囲:P.623 - P.627

 Amyloidosis cutis nodularis atrophicansの皮疹の出現に続いて,約8年後Sjögren症候群を併発した63歳,女性の1例を報告する.約10年前より躯幹,両大腿上部に結節性皮疹が多発してきた.約3年前より右耳下腺部の無痛性腫脹,口腔内乾燥感が持続し,約3カ月前より両眼の乾燥感が出現してきたため,当院内科でSjögren症候群と診断された.検査所見で血中IgGの上昇と良性M蛋白血症を認め,当科で組織学的・組織化学的に沈着物質をアミロイドと同定した.さらに同物質はKMnO4処理アルカリコンゴー赤染色で抵抗性であり,PAP法で抗AL (λ)抗体が陽性であった.現在まで直腸粘膜や口腔粘膜にアミロイドの沈着は認めない.本症例は経過よりSjögren症候群に続発した全身性アミロイドージスとは考えにくく,むしろ原発性アミロイドージスの可能性が推測され,将来に亘って経過の観察を要すると思われる.

Leser-Trelat徴候を伴ったAcanthosis Nigricans Malignaの1例

著者: 染田幸子 ,   辻卓夫 ,   濱田稔夫 ,   永井裕司 ,   加藤保之 ,   紙野建人

ページ範囲:P.629 - P.635

要約 67歳,男性.初診の約2カ月前より全身,特に項部,腋窩部,外陰部等の色素沈着と表面皮膚の粗槌化および部分的な沈贅状増殖,ほぼ全身に多発する瘙痒を伴った老人性疣贅様皮疹を主訴として当科を受診した.項部の色素沈着部の組織所見でpapillomatosis,部分的なacanthosis,hyperpigmentationなどがみられ,年齢・臨床像・組織所見よりacanthosis nigricans malignaとLeser-Trelat徴候とを疑い内臓悪性腫瘍の検索がなされた.その結果,胃癌(低分化型腺癌)とその肝転移を併発していることが判明した.胃癌摘出と抗癌剤投与により疣贅様皮疹は縮小してきたが,全身の色素沈着は殆ど変化をみなかった.本症例はacanthosis nigricans malignaとLeser-Trelat徴候とが同時にみられたもので,文献的考察を加えて報告した.

膿疱性乾癬(環状型)の1例

著者: 石川治 ,   石川英一

ページ範囲:P.637 - P.640

要約 19歳,女.初診の3年前より背部・腰部・大腿に軽度瘙痒感を伴う紅色皮疹が出現し,皮疹は遠心性に拡大するとともに膿疱・落屑の形成をみた.皮疹はほぼ3カ月周期で軽快増悪を繰り返したが,発熱などの全身症状を呈することはなかった.臨床および組織所見から膿疱性乾癬の環状型と診断した.

慢性肝炎に合併した扁平苔癬—重症例のポリプレン酸(E−5166)治療について

著者: 太田みどり ,   生野重明 ,   戸田浄

ページ範囲:P.641 - P.644

 54歳の男性.初診時,下口唇に厚い痂皮が付着,一部びらん面を認めた.頬粘膜には白色線条と紅色浸潤局面がみられ,生検により扁平苔癬と診断した.ビタミンA同族体のポリプレン酸(E−5166)内服と歯科治療を開始し皮疹は軽快,経過観察中である.本症例は慢性活動性肝炎を合併しており,扁平苔癬と共通の自己免疫学的病因が示唆された.

Cronkhite-Canada症候群の1例

著者: 松本俊一 ,   富岡容子

ページ範囲:P.645 - P.648

 76歳,男性.昭和58年12月末頃より手足部の色素沈着,指趾爪甲萎縮脱落,腋毛脱落に気づく.昭和59年1月より下痢症状が出現,体重減少が著明となる.同年9月10日,精査のため入院.検査では,血清総蛋白3.3g/dl,胃,十二指腸,大腸に亘る広範囲なポリポーシスをみたので,Cronkhite-Canada症候群と診断した.自験例は外胚葉系の異常が消化器症状に先行し,消化管ポリポーシス,手足の色素沈着,爪甲脱落,脱毛を呈した.Cronkhite-Canada症候群と考えて,ここに報告し,文献的に若干の考察を加えた.

皮膚III型コラーゲンの減少したWerner症候群の1例

著者: 進藤泰子 ,   秋山純一 ,   高瀬吉雄 ,   小篠栄

ページ範囲:P.649 - P.652

 43歳,女のWerner症候群の1例を報告した.家系内に数名の同症患者がいると思われること,子宮筋腫と髄膜腫の2つの良性腫瘍を併発したことを特微とするほぼ典型的な症例である.今回,新しい知見として皮膚のコラーゲンの型分析を行いIII型コラーゲンの減少を認めた.

Mycobacterium fortuitumによる皮膚感染症の1例

著者: 米田洋子 ,   松本俊一 ,   藤田優

ページ範囲:P.653 - P.655

 40歳,女性,左頬部に初診1カ月前より紅斑と丘疹,膿疱が出現した.各種抗生物質を投与したが軽快せず,発熱もみたため精査の目的で入院した.入院時,左頬部の萎縮性瘢痕に接して,くるみ大の浸潤性紅斑と丘疹,小指頭大の膿瘍がみられた.組織学的に結核結節様の構造を示した.膿瘍部の膿汁培養により非定型抗酸菌が分離され,Mycobacterium fortuitumと同定された.同菌は各種抗結核剤に耐性を示し,切除により軽快した.

An Acantholytic Variant of Seborrheic Keratosis

著者: 内山紀子

ページ範囲:P.657 - P.659

 63歳,女性の左大腿部に生じた小豆大疣贅状の腫瘍を切除したところ,興味ある組織像が認められたので報告する.一見,脂漏性角化症の組織像であるが,腫瘍巣内に多数のintraepidermal epithelioma様のnestがあり,このnestが著明なacantholysisを示し,腫瘍細胞はacantholytic cell様に浮かんでいる.脂漏性角化症のirritated typeと思われるが,acantholysisを生ずる原因は不明である.

癌化したPoroepithelioma Folliculare

著者: 儘田晃 ,   川田暁 ,   近藤靖児 ,   折田正人

ページ範囲:P.661 - P.664

 62歳,女の右大腿部に生じたporoepithelioma folliculareの悪性化例を報告した.病理組織像では特徴的な表皮内巣形成のほかに,腫瘍細胞の明らかな真皮内侵入性浸潤,増殖が認められた.即ち,従来前癌性毛包腫瘍として記載されたporoepitheliomafolliculareが癌化しうることを示すものと考えた.

ピペラシリンおよびセフォタキシム薬疹患者の皮膚反応と間接血球凝集反応における薬剤間の交叉反応性

著者: 鈴木朝美 ,   池澤善郎

ページ範囲:P.665 - P.671

 子宮頸部癌切除患者において術後合併症のため投与されたピペラシリン(PIPC)およびセフォタキシム(CTX)による発疹症型薬疹の1例を報告した.原因薬剤は皮内試験による遅延型過敏反応(DTH)ならびにCTXと交叉反応するセファゾリン(CEZ)の投与により同様の薬疹が誘発されていることによって同定された.関係薬剤の皮内試験を行い動物実験における交叉反応の成績と比較したところ,セファロスポリン系薬剤間の交叉反応性は実験動物とほぼ同じ成績であったが,ペニシリン系薬剤間の交叉反応性は動物実験と異なる成績であった.また血中の抗ハプテン抗体価とその交叉反応性を間接血球凝集反応とそのハプテン阻止試験によって測定した.このような薬剤に対するDTHと抗ハプテン抗体の交叉反応性の検討に基づき,本症例の薬疹の発症機構においては血中抗休よりむしろT細胞性免疫によると思われるDTHがより重要な役割を果たしていることが推察された.

薬剤誘発性血管浮腫の1例

著者: 柴原正 ,   北畠雅人 ,   石川英一

ページ範囲:P.673 - P.676

 45歳,女性の汎発性鞏皮症患者に発生した薬剤誘発性血管浮腫の1例を報告した.患者は長期内服していたアセチルサリチル酸(ASA)を中止し,ナプロキセン(Nap)に変更したところ,投与1日後より約1週間間隔で両側眼瞼に浮腫性紅斑が出現した.Napを中止するとともに,副腎皮質ホルモン剤投与により皮疹は軽快した.Napの皮内反応およびsequential vascular response induced-bleeding test (SVR テスト)は陽性であった.ASAでも皮内反応およびSVRテストが陽性であったことから,ASAで過敏状態になった患者がNap投与で皮疹の出現を認めたと解される.

人尾の1例

著者: 沢田幸正 ,   荒道人 ,   角田孝彦 ,   渡辺真人

ページ範囲:P.677 - P.680

 1歳女児の仙骨部正中に生じた人尾の1例を報告し,併せて発症原因についての若干の考察を加えた.本症は稀な疾患といおれているが,日常臨床において目に触れることもあると考えられ報告した.

編集室だより

雑誌名の省略について

著者: 「臨床皮膚科」編集室

ページ範囲:P.652 - P.652

 最近,引用文献に掲載される雑誌名の略称は,1970年にAmerican National Standards Committeeから出された「International List of Periodical Title Word Abbreviations」による略し方が,国際標準として,一般化してきました.皮膚科領域に関係のある言葉の例を下記にあげました.御投稿の際には,これらを参考にして下さい.

基本情報

臨床皮膚科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1324

印刷版ISSN 0021-4973

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