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雑誌目次

雑誌文献

臨床皮膚科41巻1号

1987年01月発行

雑誌目次

図譜・534

Eccrine Hidrocystoma

著者: 滝潤子 ,   高島睦美 ,   為政大幾 ,   尾口基

ページ範囲:P.6 - P.7

患 者 50歳,女性,製麺業
初 診 昭和60年7月30日

図譜・535

皮膚子宮内膜症の1例

著者: 黒田真臣 ,   本多朋仁 ,   藤井義久 ,   高安進 ,   市川武城

ページ範囲:P.10 - P.11

患 者 48歳,女
初 診 昭和59年12月14日

原著

潰瘍性大腸炎に合併したLinear IgA Bullous Dermatosis(LBD)の1例—本邦におけるLBDとTypical Dermatitis Herpetiformis Duhringの統計と比較検討

著者: 安井伸代 ,   渥美令子 ,   南光弘子

ページ範囲:P.13 - P.20

 60歳,男子.2年前より潰瘍性大腸炎のためサラゾピリンの投与を受けていたが,内服を中断したところ,3ヵ月後より紅斑,小水疱が出現.皮膚生検にて表皮下水疱と真皮乳頭層に好中球から成る微小膿瘍を認めた.皮疹部,無疹部ともに螢光抗体直接法でBMZにIgAがlinearに沈着していた.間接法は陰性.以上よりlinear IgA bullousdermatosisと診断した.治療はプレドニン20mgの内服にて著効を示した.自験例を含め現在までの本邦でのIgA沈着の証明されたdermatitis herpetiformis Duhringとlinear IgA bullous dermatosisの報告例を集め比較検討し,潰瘍性大腸炎の合併につき考察した.

Linear IgA Bullous Dermatosis of Childhood—2例の報告と本症の治療について

著者: 西澤波子 ,   堀口裕治 ,   岡本祐之 ,   段野貴一郎 ,   今村貞夫

ページ範囲:P.21 - P.25

 Linear IgA bullous dermatosis of childhoodの2症例(1歳9ヵ月,女児および1歳4ヵ月,男児)を報告し,本邦報告例の治療および予後を総括した.2症例とも緊満性水疱と紅斑上の小水疱群を示し,組織学的に好中球を含む表皮下水疱であった.また,ともに基底細胞下面からlamina lucidaにかけてIgAが沈着していた.ステロイド剤とDDSの併用療法が著効を示した.本症に対しては初めからステロイド剤とDDSの併用療法を試みるべきであると考えられる.

サルコイド病変を伴ったシェーグレン症候群の1例

著者: 片山一朗 ,   古川美紀子 ,   山下紀子 ,   笹井敬子 ,   橋本武則 ,   佐野榮春 ,   細谷比左志

ページ範囲:P.27 - P.30

 52歳,女子.サルコイド病変を伴ったシェーグレン症候群の1例を報告した.顔面紅斑部,筋生検にて非乾酪性の類上皮細胞肉芽腫を認め,67Gaシンチグラフィーにて両側肺門部リンパ節腫大を認めた.眼科的にはサルコイドーシスに見られる眼病変は証明されず,涙液の減少,乾燥性角結膜炎の像のみを認めた.シアログラフィー陽性.口唇生検にて,小唾液腺周囲にリンパ球,形質細胞の浸潤を認めたが,類上皮細胞肉芽腫像は認めなかった.免疫学的に白血球減少,SS-A抗体陽性,ツ反の陰性化等を認めた.以上より本症例においては,シェーグレン症候群の存在下にサルコイド病変が出現したものと考えられ,シェーグレン症候群に伴うsystemic sarcoid reactionとも呼ぶべきものと考えた.

尋常性乾癬の治療におけるPUVAとUVBの比較検討

著者: 野田涼子 ,   段野貴一郎 ,   堀尾武 ,   今村貞夫

ページ範囲:P.31 - P.36

 尋常性乾癬の入院患者10例について,対照となる部位を選び,一方にPUVA療法,他方にUVB照射を行って,その効果を比較観察した.結果はUVB有効例3例,PUVA有効例4例,ほぼ同等の効果であったもの3例であり,UVB照射においてもPUVA療法にほぼ匹敵する治療効果が得られた.UVB療法には,照射時間が短く手技が簡単で,急性の局所的な副作用もPUVA療法に比して少ないなどの利点があり,試みるに値する治療法と考えられる.

末梢性顔面神経麻痺を呈した単純疱疹の1例

著者: 三原昌子 ,   稲垣安紀 ,   植木宏明

ページ範囲:P.37 - P.40

 症例:18歳,女性.口唇部および口腔内の単純疱疹の経過中に,末梢性顔面神経麻痺を竪した1例を報告した.病変部の水疱内容より単純疱疹ウイルスⅠ型が分離された.早期よりステロイド内服療法を行い,後遺症を残さず治癒した.

ショープ乳頭腫(Shope Papilloma)の悪性化と類似した疣贅状表皮発育異常症(Epidermodysplasia Verruciformis, L-L,1922)

著者: 谷垣武彦 ,   欠田良児 ,   小塚雄民 ,   湯通堂満寿男 ,   羽倉明

ページ範囲:P.41 - P.45

 疣贅状麦皮発育異常症(epidermodysplasia verruciformis, L-L,1922:EV)は,ショープ乳頭腫ウイルスによる悪性化過程と類似の「ヒトにみられるウイルス—癌化のモデル疾患」といわれている.今回EVでの悪性化へのcofactorとして反復せる外傷などが考えられる典型的な症例を経験した.患者は46歳男性(EV 5OS:大阪で5番目の患者)で,7歳頃より顔面,頭,頸部,胸部および背部に疣状皮疹があり,患者は長髪にしていたが,3年前に前頭部に潰瘍が発生.治癒と再発を何回となく繰り返していたが,潰瘍が難治性になってきた.組織学的に有棘細胞癌と診断した.EVの悪性化へのcofactorとして外傷,太陽紫外線などが考えられるが,この患者由来の細胞は紫外線に対して感受性は示さなかった.この患者に発生した潰瘍の組織像は1935年Rousらが報告したショープのパピローマウイルスの悪性化への過程の組織像と類似していた.なお本患者の疣状組織からはHPV−12と,もう一つの新しいウイルスを検出した.

フォーレル水摂取により発生した慢性砒素中毒症の1例

著者: 寺尾祐一 ,   濱田稔夫

ページ範囲:P.47 - P.51

 56歳,女性.17歳時に扁平疣贅の治療のためフォーレル水を約1年間内服し砒素黒皮症を呈した.27年後に左鼠径部に皮膚癌と診断された腫瘤が生じ,手掌足底には砒素性角化症をみた.さらに38年後に右前腕部にボーエン病の発生を認めた.内臓悪性腫瘍は今までのところ認めえない.原因となった砒素は現在でも医療用として使われているものもあり,また職業上や環境汚染などによって摂取することがあり決して過去の病気ではないこと,ならびに症状発現までの潜伏期が非常に長いことに留意して,注意深く職業歴や砒素既往の有無を確かめ,既往が明らかである場合には長期に及ぶ観察,診察および早期治療が必要である.

成人T細胞性白血病に合併した汎発性白癬の1例—ATLに合併した白癬の治療抵抗性に関する推論

著者: 八木英一 ,   高橋伸也

ページ範囲:P.53 - P.60

 48歳男性の成人T細胞性白血病(ATL)に合併したT. rubrumによる汎発性白癬を報告した.白癬病変は何れも中心治癒所見を欠き,丘疹,小水疱形成に乏しい落屑性局面を呈し,外用抗真菌剤およびグリセオフルビン内服治療に抵抗して治癒せしめえなかった.細胞性免疫の低下が認められた.白癬病変の光顕的,電顕的検索において,真皮および一部表皮内にATL細胞の浸潤を認め,角質層内寄生菌は外用抗真菌剤に対してほぼ正常に反応しているのが確認された.なお,ATLに合併してみられる汎発性白癬の治療抵抗性に関して推論を述べた.

Acral Lentiginous Melanoma—殊に黒色腫細胞の進展とエックリン汗管との関連性ならびにEumelanin・Pheomelaninの含有量について

著者: 深田栄俊 ,   兼松秀一 ,   長島典安 ,   花輪滋 ,   森嶋隆文

ページ範囲:P.61 - P.65

 45歳,女の左踵部に生じたacral lentiglnous melanomaの1例を報告した.自験例で得られた興味ある知見は以下のごとくである.1)臨床的には単一病巣内に多中心性に黒色腫病巣が出現したこと,2)病理組織学的には黒色腫細胞の真皮深層への進展がエックリン汗管中心性に生じたこと,3)尿中5—S-cysteinyldopa値は日毎の著しい変動のないことを確認したこと,4)異型メラノサイトがみられる暗褐色色素斑ではpheo—melaninは検出しえず,境界部活性が目立つ黒色腫各病巣ではeumelaninが圧倒的に多いが,pheomelaninの形成も証明されたことなどである.

悪性線維性組織球腫の1例

著者: 飯谷稲子 ,   山本修造 ,   志村葉子 ,   千葉紀子 ,   下田祥由

ページ範囲:P.67 - P.73

 76歳,男子.左大腿部に生じた悪性線維性組織球腫の1例を報告した.2年間に2回の局所再発あり.組織像は,皮下および筋層にまで及ぶ異型性の強い線維芽細胞様細胞と組織球様細胞とから成り立つ細胞集塊で,いわゆるbizarreな巨細胞も認められ,storiform pleomorphic subtypeの悪性線維性紅織球腫と診断した.電顕的には線維芽細胞様細胞および組織球様細胞と多核の巨細胞が見られたが,線維芽細胞様細胞が多かった.

妊娠に伴って発生した脂漏性角化症の2例

著者: 津田奈津美 ,   中川昌次郎 ,   植木宏明

ページ範囲:P.75 - P.77

 正常妊娠に伴って,腹部,乳房,頸部等に多数の脂漏性角化症が出現した2症例を報告した.症例1は37歳の女性で腹部,乳房に半米粒大から小豆大までの角化性の褐色丘疹が多数散在し,症例2は33歳の女性で頸部,乳房,背部に同様の褐色丘疹が多数散在していた.組織では,角質増殖,不規則な表皮の肥厚,偽性角質嚢胞などがみられ,脂漏性角化症の像を示した.以上の報告とともに若干の文献的考察を加えた.

頭蓋骨板間層内へ連続していた皮下皮様嚢腫の1例

著者: 伊藤嘉恭 ,   新井克志 ,   久木田淳

ページ範囲:P.79 - P.83

 2歳,男児.左前頭側頭部に2個の皮様嚢腫が発症した1例を報告した.臨床的には縦に並ぶ3個の腫瘤として触知したが,1個は皮下皮様嚢腫として,あとの2個は皮下皮様嚢腫とこれに連続した頭蓋骨板間層内皮様嚢腫として存在していた.組織学的にはいずれも正常表皮様構造からなる嚢腫壁を有し,これに接して毛包,皮脂腺,エクリン汗腺,立毛筋を伴っていた.

鼠径部に発生した子宮内膜症の1例

著者: 安田秀美 ,   白取昭 ,   安田耕一郎 ,   土屋喜久夫

ページ範囲:P.85 - P.89

 40歳,女子の鼠径部に発生した子宮内膜症の1例を報告した.乳児期に右鼠径ヘルニアの手術を受けた.その後,手術瘢痕部に月経に一致する疼痛を覚え,1年前から硬結が出現,点状出血をみるようになった.組織学的に子宮内膜症の特徴ある腺腔構造と間質が認められた.抗ゴナドトロピン剤であるダナゾール投与により,経過観察中である.鼠径部子宮内膜症の本邦における報告例を集計し,若干の考察を加えた.

異所性膵組織を認めた不完全臍瘻の1例

著者: 谷口康彦 ,   西嶋摂子 ,   朝田康夫 ,   木勢佳史 ,   上辻章二 ,   山田武夫 ,   山本政勝

ページ範囲:P.91 - P.94

 生後5ヵ月の女児.生下時より臍部に発赤糜爛および同部より分泌物を認めた.ゾンデ挿入検査およびエラスターによる造影剤注入所見で,臍部の尖端は盲端に終わっていた.不完全臍瘻の診断のもとに,外科にて根治的瘻孔摘出術を施行した,摘出標本の組織所見で膵組織が認められた.

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編集室だより

ページ範囲:P.60 - P.60

雑誌名の省略について
 最近,引用文献に掲載される雑誌名の略称は,1970年にAmcrican National Standards Committeeから出された「International List of Periodical Title Word Abbreviations」による略し方が,国際標準として,一般化してきました.皮膚科領域に関係のある言葉の例を下記にあげました.御投稿の際には,これらを参考にして下さい.

基本情報

臨床皮膚科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1324

印刷版ISSN 0021-4973

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