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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科41巻1号

1987年01月発行

文献概要

原著

ショープ乳頭腫(Shope Papilloma)の悪性化と類似した疣贅状表皮発育異常症(Epidermodysplasia Verruciformis, L-L,1922)

著者: 谷垣武彦1 欠田良児1 小塚雄民1 湯通堂満寿男2 羽倉明2

所属機関: 1大阪大学医学都皮膚科教室 2大阪大学微生物病研究所腫瘍ウイルス部門

ページ範囲:P.41 - P.45

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 疣贅状麦皮発育異常症(epidermodysplasia verruciformis, L-L,1922:EV)は,ショープ乳頭腫ウイルスによる悪性化過程と類似の「ヒトにみられるウイルス—癌化のモデル疾患」といわれている.今回EVでの悪性化へのcofactorとして反復せる外傷などが考えられる典型的な症例を経験した.患者は46歳男性(EV 5OS:大阪で5番目の患者)で,7歳頃より顔面,頭,頸部,胸部および背部に疣状皮疹があり,患者は長髪にしていたが,3年前に前頭部に潰瘍が発生.治癒と再発を何回となく繰り返していたが,潰瘍が難治性になってきた.組織学的に有棘細胞癌と診断した.EVの悪性化へのcofactorとして外傷,太陽紫外線などが考えられるが,この患者由来の細胞は紫外線に対して感受性は示さなかった.この患者に発生した潰瘍の組織像は1935年Rousらが報告したショープのパピローマウイルスの悪性化への過程の組織像と類似していた.なお本患者の疣状組織からはHPV−12と,もう一つの新しいウイルスを検出した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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