icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科41巻10号

1987年09月発行

文献概要

原著

円板状エリテマトーデス,進行性全身性硬化症,多発性筋炎のOverlap症候群の1例—ステロイド剤とD-ペニシラミンの分離性効果

著者: 杉山朝美1 黒沢伝枝1 池澤善郎1

所属機関: 1横浜市立大学医学部皮膚科教室

ページ範囲:P.773 - P.778

文献購入ページに移動
 円板状エリテマトーデス(以下DLEと略す),進行性全身性硬化症(以下PSSと略す),多発性筋炎(以下PMと略す)のoverlap症候群の1例を経験した.症例は37歳の男性.21歳時,頭部にDLEが出現.昭和57年頃よりレイノー現象が,また昭和58年頃より手指・足趾の感覚低下,しびれ感が出現し,翌59年2月頃より皮膚硬化が,10月頃より筋力低下が始まった.昭和60年3月,DLE,PSS,PMのoverlap症候群を疑い,治療としてまずプレドニゾロンを投与することにより筋炎症状と検査所見が著明に改善し,次いでプレドニゾロンとともにD-ペニシラミンを追加投与することにより皮膚硬化が著明に改善した,このように系統の異なる2つの薬剤がPMとPSSの症状に分離して著明な効果を示したことは,合併疾患それぞれの独立性を重視したoverlap症候群なる概念を治療効果の面から間接的に支持する所見として興味深いものと思われた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?