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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科41巻13号

1987年12月発行

原著

シンナーによる一次刺激性皮膚炎

著者: 青島敏行1 久野信一郎2 堂阪直子3

所属機関: 1大津赤十字病院皮膚科 2大津赤十字病院内科 3京都大学医学部皮膚科教室

ページ範囲:P.1027 - P.1030

文献概要

 18歳,男子の塗装作業中に生じたシンナーによる中毒および皮膚障害を報告した.受傷時の詳細は不明な点が多いが,作業中意識を失って倒れ,床にたまっていたシンナーが衣服につき,それが皮膚に接触したものと思われる.来院時,意識レベルは覚醒しているが見当識障害があり,シンナー臭が強かった.皮膚症状は右肩,背部,右上腕に広い潰瘍があり,右手背,前腕,腰部,大腿部に糜爛が点在,紅斑,水疱も認められる.皮疹が衣服の縫い目,雛に一致して不整形を呈するものもある.水疱蓋組織像は表皮細胞の核濃縮,細胞質の均質無構造化を示すものの,染色性は保たれ,細胞間浮腫は軽度である.本例は翌日には意識回復,1週間後には表皮形成完了し,10日後に退院した.シンナーによる皮膚障害の報告は文献的にも少なく,稀な症例と考えられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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