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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科41巻2号

1987年02月発行

文献概要

原著

中枢神経症状を呈した全身性エリテマトーデスの1例

著者: 稲守美紀1 森田秀樹1 浅野翔一1 甲斐俊朗2

所属機関: 1兵庫医科大学皮膚科教室 2兵庫医科大学附属病院輸血部

ページ範囲:P.111 - P.114

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 精神症状,痙攣,昏睡を主徴としたSLEの1例を報告した.症例は20歳の女性.SLEで入院加療中,熱発と精神症状の出現(過換気症候群,見当識障害,記銘力の低下等)があり,同時期より全身の表在リンパ節の腫脹も出現してきた.臨床症状と諸検査の結果より,ウイルス性脳炎を疑い,抗ウイルス剤,グロブリン製剤を投与したが漸次症状は悪化し,痙攣発作出現,ついには昏睡に陥った.そこで,ステロイドの増量を行ったところ,中枢神経症状は速やかに反応し,軽快をみた.患者は,右上肢のごく軽度の運動障害を残したのみで独歩退院した.頭部CTスキャンでは全経過を通し,器質的変化は認められなかった.中枢神経症状出現時に抗核抗体が高くSLEの活動性が示唆されたこと,ステロイドが著効したこと,血中ウイルス抗体価の特異的上昇がなかったことなどにより,本例はSLEによる中枢神経障害(CNS-SLE)と診断した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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