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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科41巻4号

1987年04月発行

文献概要

原著

潰瘍形成および指趾の壊疽を伴った成人T細胞白血病の1例

著者: 出光俊郎14 伊藤乾2 横道弘直3 佐藤功3 鈴木千征3

所属機関: 1公立佐沼病院皮膚科 2公立佐沼病院耳鼻咽喉科 3国立仙台病院内科 4自治医科大学皮膚科教室

ページ範囲:P.355 - P.360

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 皮膚および口腔粘膜,咽頭,喉頭に潰瘍形成を認め,さらに指趾の壊疽を伴った成人T細胞白血病(ATL)の1例を報告した.症例は72歳,男性.2年前に顔面,前腕の多発性紅色丘疹を主訴として当科初診.組織像で小円形細胞の表皮内および血管周囲の密な浸潤をみたが,異型細胞はなく,診断未確定のまま一旦軽快.今回は躯幹,四肢に浸潤性紅斑が多発し,個々の皮疹は水疱形成ののち急速に潰瘍化,指趾では壊疽を呈した.組織像では表皮の好酸性壊死と真皮上層の著明な浮腫のほか,異型リンパ球様細胞を伴った稠密な細胞浸潤がみられた.末梢血には特徴的な核の切れ込みを有する異型リンパ球が10%に認められ,抗ATLA抗体陽性であることからATLと診断した.自験例は皮膚病変を伴ったくすぶり型ATLから典型的ATLへ移行した症例と考えられ,その臨床像,組織所見につき考察を行った.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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