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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科41巻5号

1987年05月発行

文献概要

原著

母斑細胞から発生したと思われる悪性黒色腫の1例

著者: 飯沢理1 加藤泰三1 照井正1 木村道夫2

所属機関: 1東北大学医学部皮膚科教室 2東北大学医学部第二外科教室

ページ範囲:P.387 - P.390

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 43歳,女性.40歳時,腰部正中部付近に黒色の扁平隆起性の皮疹が出現し,約1年後よりこの一部が盛り上がり出血し易くなった.大きさ2×2cmで,円形の境界明瞭な扁平隆起性黒色局面内右側に,1.2×1.3cmの有茎性で表面に糜爛を呈するame—lanoticな腫瘤がある.その組織像では,黒色腫細胞の浸潤内に母斑細胞のnestがみられ,また扁平隆起性局面と腫瘤との境界部において,母斑細胞の異型性が黒色腫細胞集団に近づくに従って著明になるという所見が認められた.この組織学的所見は母斑細胞から黒色腫細胞への移行を強く示唆するものであり,極めて珍しい症例と考える.また我々の検索の限りでは,本邦における後天性の色素性母斑と悪性黒色腫の合併例は過去20年間に報告がなく,この症例を報告した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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