臨床皮膚科41巻5号

1987年05月発行

原著

特異な臨床症状を呈した肺癌（扁平上皮癌）の皮膚転移の1例

著者： 斎藤由希子¹ 田中壮一¹ 加藤弘文² 岡田慶夫²

所属機関： ¹滋賀医科大学皮膚科教室 ²滋賀医科大学第2外科教室

ページ範囲：P.397 - P.401

文献概要

　肺癌（扁平上皮癌）の加療中，前胸部に生じたcarcinoma erysipelatodesの71歳男性例を報告した．腫瘍細胞塊を入れた真皮脈管腔は，第VIII因子関連抗原をマーカーとしたPAP法にて検索したところ陰性であり，リンパ行性転移が示唆された．さらに透過型電顕では，腫瘍細胞はトノフィラメントおよびデスモゾームを有し，細胞間隙に多数のmicrovilli様の突起が観察された．