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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科41巻8号

1987年07月発行

文献概要

原著

粘膜苔癬より生じた頬粘膜有棘細胞癌の1例

著者: 武村俊之1 荒井亮鈴1 木裕介1 向井秀樹1 衛藤光1 古山登隆2 烏飼勝行2

所属機関: 1北里大学医学部皮膚科教室 2北里大学医学部形成外科教室

ページ範囲:P.625 - P.628

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 54歳,女.初診より2年前に口腔粘膜に発赤を伴う糜欄局面あり,組織学的に粘膜苔癬と診断外来にて加療するも改善傾向を認めず,その後通院中断.2年後に,右頬粘膜の腫瘤を主訴に再び来院.組織像から,粘膜苔癬上に生じた有棘細胞癌と診断した症例を報告する.治療として広汎全摘術を施行し,局所再発,全身転移の徴候なし.扁平苔癬が悪性化したとする報告は現在まで150例に及ぶ.なかでも口腔粘膜に,臨床的に糜欄,潰瘍を呈するものに悪性化が多い.その誘因として不適切な治療,カンジダ感染,機械的刺激などがあげられる.さらに皮疹発生から悪性化までの期間は,平均2年と比較的短い.したがって,難治性潰瘍が慢性に経過する場合には悪性化することに十分留意すべきと考えた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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