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文献概要
原著
クロモミコーシス—長期観察例
著者: 高瀬孝子1 上野賢一1
所属機関: 1筑波大学臨床医学系皮膚科
ページ範囲:P.727 - P.733
文献購入ページに移動 前に報告した症例1)であるが,その後多発性の病巣を生じてきたので再び報告する.前回の報告の要旨:初診は昭和55年1月(62歳),茨城県在住の農婦.その後通院しなくなり,再診は昭和58年12月(66歳),左手背に局面性病巣を認めた.痂皮内にscleroticcells (+).組織内菌要素を認め,培養でExophiala dermatitidisを分離した.5—FC内服,約5カ月で瘢痕治癒した.治療中,左手背に自家接種病巣を認め切除その後,局所再発はなかった.その後の経過:昭和60年3月(67歳),前頸部に皮疹を認め,これを切除した.菌要素陽性.培養は不成功.5—FC4カ月内服.昭和61年1月(68歳),右前腕・右下腿・左足背に直径1cm位の局面性病変,痂皮内にsclerotic cells (+).すべて切除.菌要素陽性,培養でE.dermatitidisを分離した.表在リンパ節腫脹を認めず,全身の検索で異常所見を認めなかったことから,後発病巣を自家接種によるものと考えた.
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