文献詳細
原著
文献概要
80歳女性の右下眼瞼内側に存在する,膿瘍を伴う腫瘤より,非常に稀な菌種であるRhodococcus bronchialisが分離された.組織学的に,菌要素の証明はなされなかったが,真皮から皮下組織にかけて,単核球細胞浸潤を伴う泡沫細胞の集簇を認め,黄色腫の組織像を呈し,Rhodococcus infectionと黄色腫の成因との関係の面で非常に興味がもたれた.自験例の病変部は種々の薬剤に抵抗性であり,最終的には手術的治療が適当であると考えられた.Rhodococcusは,人においてはまだ,その病原性が明確にはされていない菌種であるが,過去の文献的考察および自験例より,少なくとも人の皮膚に対しては病原性が存在すると考えられた.
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