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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科42巻10号

1988年10月発行

文献概要

原著

食道粘膜剥離を生じた尋常性天疱瘡,殊に表層性解離性食道炎について

著者: 斉藤範夫1 鈴木秀明1 樋口由美子1 花輪滋1 森嶋隆文1

所属機関: 1日本大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.909 - P.914

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 表層性解離性食道炎の基礎疾患が尋常性天疱瘡であった27歳,女性例を報告した.尋常性天疱瘡患者における食道粘膜吐出例の特徴は以下のように要約される.1)いずれも女性罹患例である.2)吐出時,口腔粘膜病変をみるのみで,皮膚病変は略治の状態である.3)前駆症状として悪心・嘔吐,咽頭痛,胸骨痛や嚥下困難などがみられ,突然,紐様構造物を吐出し,吐出後に出血やショック症状はみられない.4)吐出物は全長25〜30cm,灰白色,半透明,薄膜様,紐状ないし筒状の構造物である.5)病理組織学的には基底層あるいはその直上より剥離した重層扁平上皮で,棘融解細胞を認め,免疫病理学的には粘膜上皮細胞間にIgGの沈着を認める.6)血中抗表皮細胞間抗体価は一般に低値である.7)コルチコステロイド内服に速やかに反応し,約2週後に上皮化する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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