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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科42巻12号

1988年12月発行

文献概要

原著

壊死性筋膜炎を伴ったVibrio vulnificus敗血症の1例

著者: 徳田安孝1 宇原久1 羽生田久美子1 松井雅彦1 山路和彦1 斎田俊明1 袖山治嗣2 黒田孝井2 松本頴樹3 川上由行4

所属機関: 1信州大学医学部皮膚科学教室 2信州大学医学部第2外科学教室 3信州大学医学部細菌学教室 4信州大学医学部附属病院中央検査室

ページ範囲:P.1117 - P.1122

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 61歳,男性.患者は糖尿病,食道癌根治術の既往があり,また魚介類の刺身を好物とし,頻繁に食していた.8月初旬,突然高熱と右大腿屈側部痛が出現し,翌日ショック状態となった.ショックは補液等の治療で是正されたが,右大腿に紅斑が出現し急速に拡大し壊死巣を形成した.静脈血および創培養よりVibrio vulnificusが検出された.抗生物質投与と広範なデブリードマンにより,全身状態は急速に改善した.患者血清を用いた螢光抗体法間接法では,V.vulnificusに対する抗体価の有意な上昇を示した.本菌による感染症が敗血症および皮疹を呈しやすいのは,菌の組織への侵入力が強いことや,菌体外毒素による血管透過性亢進活性やコラーゲン溶解活性などが関与しているものと考えられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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