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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科42巻2号

1988年02月発行

文献概要

原著

乳頭腫ウイルス抗原陽性を呈した足底表皮嚢腫の1例

著者: 佐藤貴浩1 折田正人1 勝俣道夫1

所属機関: 1東京医科歯科大学医学部皮膚科教室

ページ範囲:P.169 - P.172

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 9歳,男児の左足底拇趾球部に生じた16×16mm大の表皮嚢腫の1例につき病理組織学的に検討したところ,嚢腫壁の表皮側のほぼ半周に亘る部分で,壁の内腔側に類円形から不整形の好酸性無構造物質を認め,また嚢腫壁のほぼ全層に亘って同様の好酸性無構造物質を胞体内にもつ明るい細胞が混在していた.さらに同部のケラチン様物質内に多数の空胞様構造を認めた.ABC法による乳頭腫ウイルス抗原の検索を行ったところ,後二者において陽性の所見を得た.過去10年間に当科で経験した足底表皮嚢腫9例について再検討したが,同様の構造を認めた症例はなく,またこの例では初診の約2年前に両足底に疣贅様皮疹があったこと,同部を打撲した既往もあることから,乳頭腫ウイルスが偶発的に嚢腫内に侵入したものと考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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