icon fsr

雑誌目次

雑誌文献

臨床皮膚科42巻3号

1988年03月発行

雑誌目次

図譜・549

顔面片側のみに生じた大丘疹性梅毒疹

著者: 高橋千恵

ページ範囲:P.192 - P.193

患 者 26歳,男性,調理師
初 診 昭和61年11月27日

原著

表皮母斑症候群

著者: 伊藤篤 ,   増澤幹男

ページ範囲:P.195 - P.200

 11歳,男性.生下時異常なく,5〜6歳頃より徐々に側彎,手指の変形を生じた.初診時,左右非対称の顔貌,左への脊柱側彎,左肘関節の屈曲,手指の変形等の著明な骨格異常と,右側頸と左上腕から腋窩部の表皮母斑を認め,Larregeueの2徴のepidermalnevus syndromeと診断し報告した.本邦例の集計,本症の特徴と概念について考えを述べた.

Maffucci症候群—1例報告と本邦例の集計

著者: 仲弥 ,   原田敬之

ページ範囲:P.201 - P.208

 四肢を中心に多発性の血管腫と多発性内軟骨腫を併発したMaffucci症候群の15歳男子例を報告するとともに,本邦における本症候群の報告例62例につき統計的な検討を加えた.3人に2人は女性で,遣伝関係,知能低下は認めず,81%が15歳までに発症する.血管腫は主に幼少期に手足の軟らかい腫瘤として初発し,全身処々の皮膚に両側性非対称性に生じるが,皮膚以外にも消化管や肝・腎・膵・筋肉などにも存在することがある.皮膚病変としては,血管腫の他に,静脈拡張やリンパ管腫,色素沈着を伴うものが多い.骨変化は手指足趾の硬い皮下結節(内軟骨腫)として初発し,後に四肢の変形や病的骨折を来すことが多いが,頭蓋内に生じた例(8.2%)や悪性化(軟骨肉腫)した例(11.3%)も多く,本症の予後は必ずしもよくない.その他の合併症として,神経膠腫,血管肉腫の他,甲状腺腫,下垂体腫瘍,副甲状腺腫など内分泌系腫瘍が比較的多くみられた.

放射線障害皮膚に多発した基底細胞上皮腫とPremalignant Fibroepithelial Tumor

著者: 高橋美千代 ,   森下美知子 ,   山口茂光 ,   永井透 ,   佐藤良夫

ページ範囲:P.209 - P.213

 腹部の放射線照射野にsolid typeの基底細胞上皮腫(BCE)とpremalignantfibroepithelial tumor (PFT)が多発した1例を報告した.症例は73歳,女.28年前に子宮頸癌にて60Coの子宮腔内照射,子宮全摘術および術後外照射を施行された.5年程前より照射野内に黒褐色扁平隆起性皮疹および褐色斑が多発してきた.組織学的に前者は通常のsolid typeのBCE,後者はPinkusのPFTで,両者の移行像を示す皮疹も存在した.放射線照射とBCE,PFTについて述べ,自験例における免疫学的背景について考察を加えた.

皮角を呈したMalignant Trichilemmomaの1例

著者: 木村滋

ページ範囲:P.215 - P.218

 87歳,女性.約1年前から左耳前部に無症候性腫瘤があり,約3カ月前から急に大きくなってきた.初診時,縦20mm,横20mm,高さ10mmの黒色の硬い皮角状腫瘤が単発.所属リンパ節腫脹は認められず.組織像では,腫瘍は,皮膚面にほぼ直交し並列する多数の長い小葉状構造からなる.各小葉構造の辺縁側は多層の好塩基性細胞からなり,最外層には細胞の柵状配列が見られる,各小葉構造の中心部に角質が貯留し,それは腫瘍表面にある大きな角質塊に連続的に移行する.角化の様式はtrichilemmal keratiniza—tion.腫瘍細胞に配列の乱れ,核の異型性,個細胞角化,clumping cellが見られBowen病様である.腫瘍の真皮内への浸潤は見られない.森岡・山口の提唱したmalignanttrichilemmomaと診断.本症の本邦報告例に皮角を呈した例は他に見当たらず稀な例と思われる.角化傾向の強い毛包系あるいは毛包への分化を示す腫瘍であるmalignantproliferating trichilemmal cyst, trichilemmal horn, trichilemmomal hornとの異同を考察した.

分泌部への分化を示したエクリン汗器官腫瘍の1例

著者: 佐藤貴浩 ,   勝俣道夫

ページ範囲:P.219 - P.223

 60歳,男性.10年前に気づいた前胸部の圧痛のある淡紫紅色の結節.組織学的には大型の細胞と小型の細胞からなり,大型の細胞はところどころで管腔様構造を形成し,内腔に好酸性無構造物質を認めた.この物質はPAS染色陽性およびCEA陽性を呈した.電顕的には管腔様構造は明調な細胞と暗調な細胞の2種類からなり,内腔に認めた高電子密度の針状結晶の集塊が特徴的であった.主に暗調な細胞の内腔側に分泌顆粒様物質を認めたため,自験例を分泌部への分化を示したエクリン汗器官腫瘍と診断した.しかし光顕的には大型の細胞と小型の細胞の配列が不規則であり,Kersting & Helwigのいうeccrine spiradenomaとはやや異なるものと思われた.

乳房Paget病の3例

著者: 相原満里子 ,   徳橋至 ,   原本泉 ,   柴山律子 ,   碇優子 ,   下田祥由

ページ範囲:P.225 - P.230

 乳房Paget病の3例を報告した.第1例は53歳女性の乳輪部を越えて,第2例は43歳女性の乳頭部に限局して,第3例は40歳女性の乳頭部に存在し,病理組織学的にPaget細胞を認めた.第1,3例は面皰癌であった.3症例とも外科的治療を行い,現在経過観察中である.3症例とも電顕および免疫組織化学的検討も加えた.

収縮性心膜炎手術後に消褪した汎発性疣贅症

著者: 斎藤英二 ,   鈴木正夫 ,   長尾貞紀 ,   飯島進 ,   山崎啓二 ,   青木孝直

ページ範囲:P.231 - P.235

 15歳,男.9歳時より収縮性心膜炎があり,14歳時に左手に疣贅が出現し徐々に全身に多発し,各種治療に抵抗していた.30歳時に収縮性心膜炎による続発性蛋白漏出性胃腸症とされ,32歳時に心膜切除術施行.その3カ月後より収縮性心膜炎および蛋白漏出性胃腸症の症状の軽快と共に疣贅の消褪傾向を認め,約1年で疣贅は消失した.術前の免疫学的検査では,T-cell数の低下,ツ反陰性,DNCB感作不成立,PHA・Con Aによるリンパ球幼若化反応低下,血清総蛋白・γ—グロブリン・免疫グロブリンはそれぞれ低下していたが,術後ほぼ正常化した.疣贅消褪中の組織では表皮の変性,リンパ球様細胞の浸潤をみるが,血栓形成は認めなかった.

食物アレルギーが関与していると思われるアトピー性皮膚炎の3例

著者: 宮川淳子 ,   宮川加奈太 ,   杉山朝美 ,   小松平 ,   川口博史 ,   池澤善郎

ページ範囲:P.237 - P.242

 食物アレルギーが関与していると思われるアトピー性皮膚炎の症例を経験した.症例1は50歳男性,牛乳ラストスコア3,除去により皮疹軽快,ラスト陰性化.症例2は13歳女性.ダニ,ハウスダスト,14項目もの食物抗原に対するラスト陽性であったが,臨床経過から主な原因食物と考えられた牛乳,卵,米の3つの食物のみの除去により皮疹は著明に改善.症例3は27歳男性,ラストスコアの高い蕎麦やビールによっては喘息発作や薄麻疹が誘発され,ラストスコア1の卵の除去により皮疹軽快,卵摂取により湿疹が誘発された.これらの症例に対する食物アレルギーの関与の仕方について若干の考察を試みた.

汎発性脱毛症と胸腺腫を合併し種々の自己抗体を認めた尋常性天疱瘡の1例

著者: 片桐一元 ,   松永悦治 ,   板見智 ,   新海法 ,   高安進 ,   瀬口俊一郎

ページ範囲:P.243 - P.247

 55歳,女性.尋常性天疱瘡に汎発性脱毛症と胸腺腫を合併し,抗サイログロブリン抗体,抗マイクロゾーム抗体,抗骨格筋抗体,抗アセチルコリンレセプター抗体,抗核抗体陽性を示した1例を報告した.胸腺腫は尋常性天疱瘡発症の3年前の胸部単純X線写真ですでに認められ,汎発性脱毛症は天疱瘡の3カ月前に発症していた.胸腺腫を摘出したが皮疹は改善せず,プレドニン,シオゾールを併用し略治した.尋常性天疱瘡に胸腺腫を合併した報告は多数認められるが,本例では加えて,自己免疫疾患の一つと想定される汎発性脱毛症を合併し,種々の自己抗体が陽性であり,胸腺腫に基づく自己免疫疾患の複合が考えられた.

Lichen Myxedematosusの2例

著者: 穴口享 ,   大山克巳 ,   加茂紘一郎

ページ範囲:P.249 - P.253

 54歳男子の上背部に生じたlichen myxedematosus (以下,LMと略記)と,50歳男子の顔面に生じたLMの2例を報告した.2例とも糖尿病を合併し,さらに1例では肝障害を伴う.治療としては2例ともsteroid剤の外用にて皮疹の軽快をみた.硬化性粘液水腫を含むLMは,本邦では1961年の島らによる報告以来,1986年末までに106例の記載をみる.著者らは今回,この106例のうち皮疹について記載のある100例に自験例を加えた102例について統計的な考察を試みた.

視神経炎と蝶形紅斑を初発症状とした全身性エリテマトーデスの1例

著者: 寺本範子 ,   刀祢毅 ,   斎藤隆三 ,   加藤昌久

ページ範囲:P.255 - P.259

 15歳,女.蝶形紅斑を主訴として当科受診.同時に"眼の奥の痛み"を訴える.臨床所見,抗核抗体陽性,低補体血症などの検査所見より当科にて全身性エリテマトーデス(SLE),眼科にて眼底螢光造影の所見などより視神経炎と診断した.プレドニゾロン40mg/日の内服にて視神経炎の改善をみるが,尿所見と低補体血症が持続することより,メチルプレドニゾロン1,000mg/日,3日間のパルス療法を施行し,諸症状,諸検査の改善もみられた.SLEにおける視神経炎の報告は稀であり,内外の文献を加え若干の考按を述べた.視神経炎が発症したSLE症例では,横断性脊髄炎を視神経炎の発症と同時または発症前後に認めることが多く,視神経炎は中枢神経系ループスの一症状としてみられることが多いと考えられた.SLEにおいては,他の神経症状なしに,視神経炎が単独にみられた場合でも,治療に関し十分な注意が必要であると思われる.

全身の脱毛を皮膚主症状としてDMSOによって発毛のみられた原発性全身性アミロイドーシスの1例

著者: 小堀幸子 ,   青木重信 ,   平本力 ,   北島康雄 ,   矢尾板英夫

ページ範囲:P.261 - P.264

 68歳,男.原発性全身性アミロイドーシスで,皮膚症状として頭髪を初めとする全身の脱毛がみられた.組織学的に毛嚢周囲のアミロイド沈着が認められ,pilosebaceousunitがやや萎縮していた.DMSO 5ml/dayの内服により約6週間後より発毛がみられてきた.併せてDMSOの効果について文献的考察も加えた.

色素性扁平苔癬(Lichen Planus Pigmentosus)の2例

著者: 海老原全 ,   清水宏 ,   仲弥 ,   原田敬之 ,   西川武二

ページ範囲:P.265 - P.271

 61歳女子および44歳女子に認められた色素性扁平苔癬(lichen planus pigmen—tosus)の2例を報告した.両者とも臨床的には色素斑を主体としていたことから,扁平苔癬とは診断し難く,組織学的検討を行い,初めて扁平苔癬と診断し得た.電顕的には,下層表皮細胞において,細胞内浮腫,ミトコンドリアの空胞化,細胞膜不明瞭化,中等度電子密度変性物質,マクロファージの浸潤,コロイド小体など通常の扁平苔癬にみられるのと同様の像が認められた.色素性扁平苔癬は扁平苔癬のうち色素沈着を主体とする亜型であり,その発生機序としては,軽度の苔癬様組織反応が長期に亘り繰り返し生ずることにより,表皮あるいは角質肥厚といった像は呈さず,むしろ基底細胞,メラノサイトに対する障害が主に生じ,組織学的色素失調が高度となることから,臨床的に紅色調よりむしろ色素沈着が主体となることが推論された.

Erythema Dyschromicum Perstansの1例

著者: 小松満知子 ,   宮川幸子 ,   白井利彦

ページ範囲:P.273 - P.277

 14歳,女性,中学生.約2カ月前より体幹に指頭大までの紅斑と灰褐色の色素斑が出現し,次第に増数.自覚症状は殆どない.病理組織にてlichenoid tissue reaction,incontinentia pigmenti histologicaを示し,erythema dyschromicum perstansと診断.電顕にてコロイド小体,一部で基底板の欠如を認め,螢光抗体法直接法にてコロイド小体に一致してIgGの沈着を認めた.免疫組織化学にて表皮細胞表面および殆どの真皮浸潤細胞にIa抗原を認め,表皮でOKT 6陽性樹枝状細胞が増加していた.真皮浸潤細胞はTリンパ球を主としていた.以上の所見はlichen planusにおける所見に酷似し,本症がlichen planusのvariantである可能性を示唆するとともに,本症の病理発生に細胞性免疫が重要な働きを演じているものと考えた.

顔面白癬50例の臨床的検討

著者: 出光俊郎 ,   花田順子 ,   平本力 ,   小堀幸子 ,   青木重信 ,   北島康雄

ページ範囲:P.279 - P.285

 顔面白癬50例を臨床的に検討し,白癬の非定型化を来す原因を中心に考察を試みた.臨床病型の内訳は異型白癬24例,斑状小水疱型16例,頑癬型10例であった.これらの症例では必ずしも異型白癬にステロイドの外用率が高いとは限らなかった.原因菌種はT. rubrumが33例と最も多く,次いでT. mentagrophytes 4例,M. canis 4例,M. gypseum 4例でT. verrucosumは1例であった.頑癬型からはすべてT. rubrumが分離されたのに対して,異型白癬や斑状小水疱型からは多彩な菌種が分離され,臨床病型と原因菌種との関連が示唆された.また,具体的症例の一つとして夫婦間で病型の異なる顔面白癬例を呈示した.これらの事実から顔面白癬の異型化の原因には,菌側の要因に加えてステロイドの誤用のみならず,その他の物理的,化学的刺激,あるいは宿主側の要因などが複雑に絡み合っていることが推察された.

印象記

ウェルカム国際ウイルス剤シンポジウムに参加して

著者: 西川武二

ページ範囲:P.288 - P.290

 私はたまたま,ウェルカム財団主催のモナコ大公国モンテ・カルロ市で行われた国際ウイルス剤シンポジウム(昭和62年12月2日〜4日)に出席の機会を得た.この会議は世界各国から基礎・臨床領域の研究者およびその同伴者約700名,ウェルカム社の関係者約200名を含め,およそ1,000名に及ぶ参加者から成り,当地の超高級ホテル「Loews」の国際会議場で行われた.日本では師走,欧州ではクリスマスの多忙な時期であり,著者も殆ど会議の出席のみに終始した会議参加ではあったが,その内容,前後の行動も含めて簡単な印象記としてまとめてみた.

これすぽんでんす

Microcystic Adnexal Carcinoma

著者: 原田玲子

ページ範囲:P.291 - P.291

 本症はごく最近,Goldsteinら1)により提唱され,汗腺・毛嚢への分化を同時に示す点で,非常に興味深い腫瘍である.海外においてもその報告は少なく,本邦においては漸くその報告が当誌を初めとして散見されて来ている(当誌41巻12号,p.935,山元真理子,他).私の知る限りでは,本邦においては本症の報告は既に1983年加藤・杉浦2)が第34回日本皮膚科学会中部支部学術大会・臨床病理カンファレンスにおいて本症と思われる症例を"皮膚腫瘍"として報告しており,その際の指定討論者の多くの診断はdesmoplastic trichoepitheliomaであった.その後,1986年竹宮ら3)が本症と思われる症例を第2回皮膚病理組織研究会において報告,1986年11月第37回日本皮膚科学会中部文部学術大会において高橋ら4)が,第38回日本皮膚科学会西部支部学術大会において中北ら5)がそれぞれmicrocystic adnexalcarcinomaの1例を報告している.さらに1987年8月,川島ら6)は,第3回日本皮膚病理組織研究会において,本症の1例を詳細な検討を加えて報告している.本症は深部まで採取した標本からでないとdesmoplastic tri—choepithelioma, trichoadenoma, syringoma等との鑑別が困難で,本邦においても前記の症例以外にも他の診断名で報告され,あるいは報告されぬまま埋もれている症例の存在する可能性が考えられる.これらの症例について十分な検討を行うことにより,さらに興味深い知見が得られるものと期待される.
 また,本症はcarcinomaと命名されているが,病理組織学的には核の異型性や細胞分裂像等,悪性を思わせる所見に乏しく,転移の報告も稀である.しかし,深部に浸潤しやすい点を考えると,局所的に悪性とでもいうべき腫瘍と思われる.本症の診断の重要なポイントとして,腫瘍細胞の神経周囲や筋肉等への浸潤があげられるが,稀には軟骨や骨周囲への浸潤もあるといわれている.十分な切除が行われないと再発しやすく,しかも術後長期間経過した後,初めて再発が明らかになる可能性もあることは,本症の治療上特筆すべきことと思われる.

"Subacute Cutaneous Lupus Erythematosusの3例"を読んで

著者: 長島正治

ページ範囲:P.292 - P.292

 亜急性皮膚エリテマトーデス(SCLE)はSontheimerらの記載以来,我国においても若干の報告がみられ,本症に対する一般の認識はようやく高まってきたようです.しかしながら,本症の独立性および皮疹といろいろな検査所見との関連性に,なお多くの問題が残されていると考えられます.
 今回,中川浩一氏他の"Subacute Cutaneous LupusErythematosusの3例"が臨皮41巻13号に発表されました.大変,興味深く拝見させて頂きましたが,二,三の点につき私見を述べさせて頂きます.

長島先生の御意見に対して

著者: 中川浩一

ページ範囲:P.293 - P.293

 長島先生,貴重な御意見を賜り,有難うございます.つきましては,先生の御意見に対し二,三,追加,報告させて頂きます.
 先ず,症例1では環状の紅斑は最初,点状の紅斑として始まり,徐々に数cmの大きさにまで拡大,融合し地図状を呈します.治療により皮疹の一部は消失し,その発生部位も次々と変化します,環状の紅斑の中心部に萎縮はみられず,その辺縁部も隆起しておりません.症例2は,原著に報告しましたように,ベタメサゾン0.125mg内服にてgood controlの状態にあり,上肢等の環状の皮疹は全く消失しておりましたが,昭和62年夏ごろより顔面に硬結が生じてきました.その硬結は両頬部に,ベタメサゾンの内服量を減量すると生じてくるという再発性のもので,左右に1つずつ,いずれも2×2cm程度の大きさまでで,円形ないしは楕円形,弾性硬,表面やや暗紫赤調を是しております.一方,症例3も同様にベタメサゾン1.5mg内服にて皮疹は次第に消失していましたが,それにかわって同じく61年秋ごろから,鼻尖,両肘部,両踵部に限局性潮紅角化性局面が出現し始め,次第に萎縮性瘢痕性となりました.ほぼ典型的なDLEの皮疹と考えられますが,ベタメサゾンの内服治療には反応せず,吉草酸ベタメサゾンの外用も併用して経過観察中であります.

--------------------

編集室だより

ページ範囲:P.287 - P.287

雑誌名の省略について
 最近,引用文献に掲載される雑誌名の略称は,1970年にAmerican National Standards Committeeから出された「International List of Periodical Title Word Abbreviations」による略し方が,国際標準として,一般化してきました.皮膚科領域に関係のある雑誌の例を下記にあげました.御投稿の際には,これらを参考にして下さい.

基本情報

臨床皮膚科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1324

印刷版ISSN 0021-4973

雑誌購入ページに移動

バックナンバー

icon up
あなたは医療従事者ですか?