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原著
Maffucci症候群—1例報告と本邦例の集計
著者: 仲弥1 原田敬之1
所属機関: 1慶應義塾大学医学部皮膚科教室
ページ範囲:P.201 - P.208
文献購入ページに移動 四肢を中心に多発性の血管腫と多発性内軟骨腫を併発したMaffucci症候群の15歳男子例を報告するとともに,本邦における本症候群の報告例62例につき統計的な検討を加えた.3人に2人は女性で,遣伝関係,知能低下は認めず,81%が15歳までに発症する.血管腫は主に幼少期に手足の軟らかい腫瘤として初発し,全身処々の皮膚に両側性非対称性に生じるが,皮膚以外にも消化管や肝・腎・膵・筋肉などにも存在することがある.皮膚病変としては,血管腫の他に,静脈拡張やリンパ管腫,色素沈着を伴うものが多い.骨変化は手指足趾の硬い皮下結節(内軟骨腫)として初発し,後に四肢の変形や病的骨折を来すことが多いが,頭蓋内に生じた例(8.2%)や悪性化(軟骨肉腫)した例(11.3%)も多く,本症の予後は必ずしもよくない.その他の合併症として,神経膠腫,血管肉腫の他,甲状腺腫,下垂体腫瘍,副甲状腺腫など内分泌系腫瘍が比較的多くみられた.
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