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原著
嚢腫状の臨床・組織像を呈した石灰化上皮腫
著者: 繁益弘志1 木村俊次1
所属機関: 1国家公務員等共済組合連合会立川病院皮膚科
ページ範囲:P.449 - P.453
文献購入ページに移動 56歳男.約1カ月前より出現,増大してきた.現症:右顳?に被覆皮膚の一部が淡紅色調光沢を有する嚢腫様半球状腫瘤が単発.自覚症なし.組織所見:腫瘍は真皮浅層から皮下組織にかけて単一の嚢腫状に存在し,内腔に好酸性均一無構造の液状物質が充満する.嚢腫壁は主に好塩基性細胞,一部陰影細胞より成る.下部の一部では壁が破壊し,異物肉芽腫と置換している.腫瘍周囲間質には,酸性粘液多糖類に富む種々の厚さの結合織性被膜が存在するが,リンパ管,血管の明らかな拡張は認められない.PAS染色では嚢腫内容はジアスターゼ抵抗性PAS陽性,コッサ染色一部陽性.本例では,石灰化上皮腫が,下部の異物反応部より血液成分が入り込んで嚢腫を形成したと考えられた.類似症例について検討を加えた.
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