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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科42巻6号

1988年06月発行

原著

自家骨髄移植に伴う急性GVHDの1例

著者: 大沢純子1 高橋泰英2 池澤善郎2

所属機関: 1横浜南共済病院皮膚科 2横浜市立大学医学部皮膚科教室

ページ範囲:P.537 - P.541

文献概要

 5歳,男児.Neuroblastomaの再発のため自家骨髄移植を施行されたが,移植後9日目より発熱,下痢とともに腋窩,陰股部を中心として皮疹が出現し,3〜4日で全身に拡大した.病理組織学的には軽度リンパ球浸潤を伴う表皮基底細胞の空胞変性と表皮細胞の好酸性変性壊死,真皮上層の軽度のリンパ球浸潤が認められた.検査所見では著明な白血球減少および軽度の肝障害,腎障害がみられた.GVHDに対する治療ができないまま,術後19日目にはDICを併発して死亡した.一卵性双生児間の骨髄移植や自家骨髄移植においても急性graft-versus-host病(GVHD)が欧米の文献に既に報告されているが,この場合graftとhostが遺伝的に同一なため確定診断ができないという問題がある.しかしながら,本症例も皮疹を含む臨床経過が急性GVHDによく一致すること,ならびに皮疹の組織所見より,自家骨髄移植に伴う急性GVHDとしてよい症例と思われる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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