文献詳細
原著
文献概要
患者:65歳,男.19歳頃より所謂いんきんたむしを生じ,加療していたにも拘らず,漸次肉芽腫を形成.昭和54年初診時には体幹,四肢の表在白癬に加えて左上肢,右上背,右腋窩に大小の潰瘍ないし肉芽腫病変が存在した.以後,グリセオフルビンの継続投与にて肉芽腫病変は残存するも,潰瘍は一度上皮化した.しかし,その後も潰瘍病変は再発,寛解を繰り返していた.昭和60年,上記3カ所の潰瘍はさらに増悪し,グリセオフルビンに反応しないためケトコナゾールに変更したところ次第に軽快におもむいた.自験例より分離されたT. rubrumの培養所見,発育温度,薬剤に対する感受性などについて経時的に検討した結果,起因菌であるT. rubrumの生物学的環境に対する幅広い適応能が本症の肉芽腫病変内での増殖を可能にすると推察された.
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