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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科42巻9号

1988年09月発行

文献概要

原著

オランダにて感染,発症したスポロトリコーシスの1例—菌学的検討も含めて

著者: 仲弥1 原田敬之1 西川武二1 木花いづみ2 山崎雄一郎2

所属機関: 1慶應義塾大学医学部皮膚科学教室 2国立東京第二病院皮膚科

ページ範囲:P.869 - P.874

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 オランダ滞在中に感染,発症した68歳日本人主婦の右上肢に生じたリンパ管型スポロトリコーシスの1例を報告した.自験例は潜伏期間が短く,皮疹の拡大が急速であった他,分離された菌株も集落の黒色調が強く,スライド・カルチャー所見上多数の分生子を認めるなど,臨床的および菌学的に特異な所見を有していた.この自験例より分離された菌株を他のS.schenckii株(臨床分離菌株3株および上壌分離菌株1株)と生理学的性質,発育温度,病原性などにつき比較検討した結果,本分離菌株は他の菌株に比べて高い温度で良好な発育を示すとともに,マウスに対し強い病原性を有することが示された.近年,本邦において本症報告例が増加しているのに対し,ヨーロッパでは激減し本症は稀な疾患となっている.本邦およびヨーロッパにおけるスポロトリコーシスの現況についても紹介するとともに,若干の考察を加えた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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