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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科43巻1号

1989年01月発行

文献概要

症例報告

初期にはサルコイド反応を呈し,その後自然消褪傾向を示したCutaneous T Cell Lymphoma(CTCL)の1例

著者: 稲冨徹1 落合豊子1 松岡孝2

所属機関: 1日本大学医学部皮膚科学教室 2川口市民病院皮膚科

ページ範囲:P.85 - P.89

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 58歳,男子のcutaneous T cell lymphoma(CTCL)について報告した.初診の1年半前から頸部,下肢に殆ど自覚症のない結節が多発してきた.皮膚生検にて,当初乾酪壊死を伴わない肉芽腫を認め,サルコイド反応と診断した.入院後,40℃台の発熱と共に全身に粟粒大の紅色丘疹を生じ,解熱後腫瘤の多くは色素沈着となって自然消褪した.皮疹消褪後約1カ月ごろから,以前皮疹のあった部位とほぼ一致して腫瘤の再発を認めた.2度目の皮膚生検では,真皮のほぼ全層に亘って大型のlymphoblastic cellが多数浸潤し,この浸潤細胞はLeu 3 aに100%陽性であることからhelper/inducer T cellの表面形質を持つCTCLと診断した.化学療法抵抗性で,治療に苦慮している.CTCLの診断基準および自験例における自然消褪の機序につき,若干の考察を加えた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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