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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科43巻11号

1989年10月発行

文献概要

症例報告

中毒性黒色皮膚炎の1例

著者: 出光俊郎1 軽部幸子1 南波正1 矢尾板英夫1

所属機関: 1自治医科大学皮膚科学教室

ページ範囲:P.1135 - P.1139

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 中毒性黒色皮膚炎は切削油,防錆油,潤滑油などの反復接触による皮膚炎の結果,色素沈着を生じる稀な疾患であり,発症機序はRiehl黒皮症と同一と考えられている.本症の1例を報告し,文献的に考察を加えた.症例は62歳,男.約3年前より油のついた器械部品を月に3,4回運搬していたところ,その数カ月後から両手背,前腕に紫褐色の色素沈着が出現した.病理組織では表皮突起の減少とともに小円形細胞の表皮内への浸潤像が観察された.真皮では組織学的色素失調のほか小円形細胞浸潤に混在して好酸球も認められた.また,汗腺組織の一部に変性像もみられた.使用していた油製剤の貼布試験では防錆油のみに陽性所見が得られた.これらの所見から自験例では,接触刺激に加えて防錆油に対するアレルギー反応が発症に大きく関与していると考えた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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