臨床皮膚科43巻3号

1989年03月発行

症例報告

成人型Xanthogranulomaの1例

著者： 望月隆¹ 卜部頼人¹ 杉浦久嗣¹ 渡辺昌平¹ 林進²

所属機関： ¹滋賀医科大学皮膚科学教室 ²彦根市立病院皮膚科

ページ範囲：P.289 - P.292

文献概要

　61歳，女性の下腿に単発した黄色肉芽腫につき報告した．初診の約半年前より左下腿伸側に丘疹が生じ，漸次増大した．初診時，直径約1cmで黄色の表面平滑な結節を認めた．組織学的検査では表皮は萎縮性で，表皮直下から真皮下層にかけてSudanⅢ染色陽性物質を含んだ，異型性のない組織球様細胞とTouton型巨細胞よりなる肉芽腫を認めた．鉄染色では一部の細胞に陽性所見を認めた．自験例に認められたTouton型巨細胞の立体モデルを画像解析装置を用いて作製した．これらの所見をもとに，本疾患とhistiocytomaとの異同につき，考察を加えた．