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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科43巻4号

1989年04月発行

症例報告

悪性血管内皮細胞腫の1例

著者: 小野寺有子1 野田淳子1 桜岡浩一1 増田光喜1 清水宏1 仲弥1 西川武二1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.363 - P.368

文献概要

 56歳,女性の悪性血管内皮細胞腫の1例を報告した.皮疹は左側頭部全体に瀰漫性に軽度隆起する板状硬,暗紅色の局面で,腫瘤形成は認めなかった.組織学的に腫瘍細胞は真皮全層に亘り,索状,胞巣状に増殖し,一部には管腔形成を認めた.腫瘍細胞は第VIII因子関連抗原陽性,電顕的にWeibel-Palade顆粒を有し,血管内皮細胞に由来した腫瘍であることが確認された,治療としてLinac 6,000 rad照射,CYVADIC療法およびadriamycin動注を施行したところ,病変部の硬結および紅斑は徐々に消退し,治療後の皮膚生検組織像では腫瘍細胞の減少を認め,治療開始後1年3カ月を経た現在,再発をみない.本症の組織学的診断には,通常のHE染色の他,免疫組織化学的ならびに電顕的検索が必要であると考えた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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