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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科43巻4号

1989年04月発行

症例報告

特異なリンパ管侵襲("in-transit"転移)をみた足底の結節型黒色腫—スタンプ蛍光法ならびに穿刺吸引蛍光法の観察所見

著者: 兼松秀一1 森嶋隆文1 鮫島俊朗1 鈴木公明1 柴田明彦1 花輪滋1

所属機関: 1日本大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.391 - P.395

文献概要

 右足底に原発した結節型黒色腫の広範囲切除術と所属リンパ節郭清術6カ月後に特異な"in-transit"転移をみた48歳,女性例を報告した.自験例で興味あることは以下の通りである.(1)病巣表面からのスタンプ蛍光法が黒色腫原発巣の術前診断法として.病巣割面からのそれは術中迅速診断法として有用であること,(2)穿刺吸引蛍光法が皮下転移巣の術前診断法として有用であること,(3)穿刺吸引法による所見は19Gより細い27G注射針による方法が優れていたこと,(4)"in-transit"転移が臨床的に黒色索状構造物として観察され,病理組織学的にはリンパ管であり,蛍光法的には黒色腫細胞は顕著なメラニン産生能を有すること,(5)特異なリンパ管侵襲の発症機序は,原発巣切除時,すでに流域リンパ管内に黒色腫細胞が移行しており,所属リンパ節が郭清されたため,行き場を失った黒色腫細胞がリンパ管内で増殖したものと考えられたことなどである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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