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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科43巻5号

1989年05月発行

症例報告

一過性に両下肢の腫脹を呈したHypereosinophilic Syndromeの2例

著者: 鶴町和道1 櫻井美佐1 禾紀子1 中山秀夫1 杉俊之2

所属機関: 1東京都済生会中央病院皮膚科 2慶應義塾大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.439 - P.443

文献概要

 一過性に両下肢の腫脹と関節痛を生じ,著明な好酸球増多を示した2例を報告する.両者とも何ら誘因なく,上記症状が出現するも,その他の全身状態は良好で,検査的にも各種臓器には異常は認めなかった.1例では,骨髄像で成熟好酸球系の過形成を確認し,12種の寄生虫に対して血清反応を行ったが,いずれも陰性だった.他例では,下腿腫脹部の一部を生検したが,病的な所見は得られなかった.治療は,いずれも消炎鎮痛剤および利尿剤を用いた.症状は薬効によるものか否かは不明だが,約1カ月後に消退した.好酸球数も減少し,以後,再発も認められない.Hypereosinophilic syndrome (HES)は,未だ十分に確立された疾患概念でなく,症状や病態も明確に固定されていないが,それ故,本症はその多様性を特徴とする.自験例は,主に下肢の脈管系および関節を侵襲したHESとして診断するのが妥当と思われる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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