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特集 臨床皮膚科—最近のトピックス Clinical Dermatology 1989 I最近話題の疾患とその病態
黒色真菌感染症の問題点
著者: 福代良一1
所属機関: 1金沢大学
ページ範囲:P.527 - P.532
文献購入ページに移動 黒色真菌感染症における以下の諸問題について考察した.①病名では,phaeohy—phomycosisという語の意義と価値について述べた.②疾患分類では,Phialophora (以下P.) der—matitidisをphaeohyphomycosisの原因菌とし,クロモミコーシスの原因菌とは認めないAjelloの分類を批判した.③原因菌については,現在知られている黒色真菌感染症の原因菌名を表示し,我が国における最近の初の分離菌(5種)を挙げた.④菌種名については,P. dermatitidis・P.gougerotii・P.jeanselmeiの3者の種名の動きを示した.⑤若干の菌種では,P.dermatitidisとP.gougerotiiを取り上げ,我が国において後者の顆粒形が発見されたことを述べた.⑥臨床像と組織内菌要素については,両者のいずれにも一応の原則はあっても,例外があり得ることを述べ,P.gougerotiiによるクロモミコーシス例に言及した.⑦中国のクロモミコーシスでは,それが300例余知られ,山東省に多く,原因菌としてはCladosporium carrioniiが最多(65%)であることを述べた.
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