文献詳細
特集 臨床皮膚科—最近のトピックス
Clinical Dermatology 1989 I最近話題の疾患とその病態
文献概要
皮膚血管炎のうちanaphylactoid pur-puraを対象疾患とした場合,皮膚および腎組織におけるterminal complement complex (TCC)あるいはmembrane attack complex (MAC)の形成は,15例中11例の皮膚細小血管,毛細血管壁に認められ,4例のpurpura nephritis全例の糸球体毛細血管係締壁に認められた.これら4例の血清中にはlgA-circulating immune complex (CIC)が有意に高く,皮膚,腎に局在するimmune com-plexならびに補体成分はCIC由来と考えられた.TCCが沈着した血管壁は病理組織学的に内皮細胞の膨化,壊死,剥離が顕著で,周囲に赤血球の血管外遊出が認められた.皮膚血管炎の病態における補体の役割を,TCCのcytolysisに基づく血管内皮細胞障害作用と,炎症反応におけるmodu-latorとしての作用の2面に注目して論じた.
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