icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科43巻6号

1989年05月発行

特集 臨床皮膚科—最近のトピックス

Clinical Dermatology 1989 I最近話題の疾患とその病態

Dysplastic nevus—2症例の報告と疾患概念の検討

著者: 斎田俊明1 宇原久1 斉木実2

所属機関: 1信州大学医学部皮膚科学教室 2長野赤十字病院皮膚科

ページ範囲:P.570 - P.574

文献概要

 Dysplastic nevus (DN)の2症例を報告した上で,DNの臨床的,病理組織学的特徴と病型分類について解説した.DNを多発する家系の者には悪性黒色腫(mm)の生じる危険率が高いことは確かだが,DNそのものがmmへと進展する前駆病変であるか否かについては,今なお議論が分かれている.本稿では,DNをmmの前駆病変とする従来の文献を批判的に再検討した上で,その疾患概念について考察を加え,DN自体はmmの前駆病変ではなくて,メラノサイト系の良性腫瘍の1病型であろうとの考え方を示した.文献上,mmへ進展したとされるDNやseverely dys-plasticと形容されるDNは,当初よりmmの初期病変,すなわちmm in situそのものであった可能性が高いものと思われる.DNを多発する患者のメラノサイトは,恐らくその遺伝子が不安定な状態にあって,良性,悪性の腫瘍細胞への形質転換を起こしやすいものと考えられる.DNに関するその他の問題点や研究課題,治療方針についても言及した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら