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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科43巻6号

1989年05月発行

文献概要

特集 臨床皮膚科—最近のトピックス Clinical Dermatology 1989 II新しい検査法と治療法

角化症におけるsteroid sulfatase測定の意義

著者: 吉池高志1 小川秀興1

所属機関: 1順天堂大学医学部皮膚科

ページ範囲:P.598 - P.603

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 伴性遺伝性魚鱗癬(XLI)がsteroid sul—fatase (SS)の欠損症であることが知られて以来,XLIとSS欠損に関連する研究は数多い.本稿では角化症,特にXLIにおけるSS欠損の臨床的意義と病態的意義について,我々の知見を中心にまとめた.まず臨床的意義であるが,SSの測定は①XLIを主としていくつかの魚鱗癬症候群の客観的診断法として有用であり,出生前診断や保因者診断にも役立つことを述べた.次いで②SS活性測定における試料としての角層の有用性を強調し,③SS測定後にretrospectiveにXLIとその類似疾患(角化症)の臨床像を見直した場合,XLIの臨床像が従来考えられていた以上にバリエーションに富み,尋常性魚鱗癬や葉状魚鱗癬と臨床的に区別のつかぬことが意外に多いことを報告した.したがってSS測定は臨床像の見直し,再整理につながったことを強調したい.また病態的意義として,①SS欠損が実際にXLI皮膚病変を引き起こすこと,②SS欠損の結果として惹起されるcholesterol sulfateの角層内蓄積により,角質細胞の剥離が遅延する状態がXLIの病態であろうことを述べた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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