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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科43巻6号

1989年05月発行

特集 臨床皮膚科—最近のトピックス

Clinical Dermatology 1989 II新しい検査法と治療法

遺伝子解析よりみたリンパ腫の診断法

著者: 滝川雅浩1

所属機関: 1浜松医科大学皮膚科学教室

ページ範囲:P.623 - P.628

文献概要

 菌状息肉症(MF)3例,セザリー症候群(SS)2例,成人T細胞白血病/リンパ腫(ATL)1例,Ki−1皮膚リンパ腫1例を含むリンパ網内系の悪性腫瘍12例について,T細胞受容体(TcR)β鎖遺伝子再構成およびHTLV−1ウイルスゲノムの腫瘍細胞遺伝子への取り込みをサザンプロット法により解析した.SS (リンパ節と末梢白血球各1例),ATL,Ki−1皮膚リンパ腫およびT細胞性皮膚リンパ腫(皮膚腫瘍各1例)から得られたDNAのEcoRI, BamHI処理検体でTcR遺伝子再構成がみられた.ATL例では末梢白血球でのTcR遺伝子再構成はみられず,皮膚原発ATLの存在が示唆された.MF扁平浸潤期2例,腫瘍期1例またB細胞性皮膚リンパ腫1例(いずれも皮膚腫瘍),急性単球性白血病1例(末梢血)では再構成はみられなかった.HTLV−1プロウイルスDNAの取り込みはATLのみに認められた.サザンプロット法によるこのような遺伝子解析は皮膚リンパ腫の診断,経過,治療効果判定,再発などについて有力な情報をもたらすものと思われる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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