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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科43巻8号

1989年07月発行

文献概要

症例報告

ACバイパス手術時の輸血によるGraft-Versus-Host Disease

著者: 筒井清広1 川島愛雄1 高田実2 関雅博3 金谷法忍4 太田五六5

所属機関: 1石川県立中央病院皮膚科 2金沢大学医学部皮膚科学教室 3石川県立中央病院外科 4石川県立中央病院内科 5石川県立中央病院病理

ページ範囲:P.813 - P.816

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 51歳,男性.体外循環装置を用いたACバイパス手術時に多数の供血者からの新鮮血3lを輸血された.術後12病日に38度台の発熱,翌13病日に風疹様紅斑が出現し全身に拡大した.これに引き続き血清トランスアミナーゼの上昇と黄疸,汎血球減少症が出現し,24病日に呼吸不全のため死亡した.皮膚の病理組織像は表皮基底層の空胞変性と表皮内リンパ球走入を示し,一部の表皮細胞にsatellite cell necrosisが認められた.免疫組織学的には浸潤リンパ球のほとんどがcytotoxic T cellで,表皮Langerhans cellは完全に消失していた.剖検所見では骨髄で骨髄芽球と赤芽球が消失し,脾のリンパ濾胞と全身リンパ節が高度に萎縮し,肝では小葉の巣状壊死と胆管の蛇行および胆管上皮の腫大が認められた.以上の所見より本症例は手術時の輸血によるgraft-versus-host diseaseと考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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