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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科43巻8号

1989年07月発行

文献概要

症例報告

皮膚腺病と考えた腹壁結核の1例

著者: 中川八重1 照井正1 田上八朗1

所属機関: 1東北大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.829 - P.832

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 結核性胸膜炎の既往歴がある67歳男性の左下腹壁に膿瘍が出現した.穿刺液の塗抹および培養でヒト型結核菌を検出し,腹部単純X線写真でも腹壁に多数の石灰化像を認めた.抗結核剤投与を開始後,膿瘍は皮膚に破れ潰瘍を生じたが,抗結核剤投与6カ月後には潰瘍は治癒した.3カ月後,その瘢痕の下部の腹壁に軟らかな腫瘤が生じ,超音波検査で膿瘍の存在が疑われた.現在抗結核剤の内服を継続中で,腫瘤の増大傾向はない.本症例は胸部結核病変がリンパ行性に腹壁に波及し,さらに皮膚に及び皮膚腺病となった稀な症例と考える.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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