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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科43巻9号

1989年08月発行

今月の症例

胸部鎧状癌(粘液癌)の1例—乳腺の粘液癌の皮膚転移

著者: 檜山清水1 小野真理子1 吉田寛子1 後藤裕美1 小林伸子1

所属機関: 1帝京大学医学部附属溝口病院皮膚科

ページ範囲:P.905 - P.910

文献概要

 粘液癌(膠様癌)は特異な組織所見を呈する癌である.今回われわれは鎧状癌の症状を呈した乳腺の粘液癌の皮膚転移の1例を経験し,本邦の皮膚科領域での第1例と考えられたので報告する.症例:73歳,女性.8年前に乳癌のため乳房切断術を受けた.気管支炎様症状で入院したが,手術瘢痕部とその周囲に板状の硬結と多数の丘疹を生じた.丘疹には膠様稗粒腫様外観を呈するものがあった.左鎖骨上窩リンパ節が腫大.組織像で,真皮上層に多数の大小の嚢腫様構造が存在し,その中に見られる癌細胞はHE染色で淡紅色,Alcian-blue,PAS,ムチカルミン染色で陽性.真皮中・下層の膠原線維間に小型の嚢腫様構造と粘液変性細胞(癌細胞)を混在する帯状の細胞浸潤が認められた.この所見から,原発巣の乳癌の組織は入手できなかったが,原発巣の乳癌は粘液癌と推察された.患者は1年半後に死亡したが,剖検はなされなかった.胸部に発生した鎧状癌,乳腺の粘液癌と皮膚粘液癌について若干の検討を行った.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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