icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科44巻1号

1990年01月発行

文献概要

今月の症例

Phialophora repensによる皮下肉芽腫の1例

著者: 中野和子15 横山一郎2 北島淳一3 広永正紀4

所属機関: 1和泉市立病院皮膚科 2和泉市立病院整形外科 3大阪市立大学皮膚科学教室 4広永皮膚科 5中野クリニック

ページ範囲:P.25 - P.28

文献購入ページに移動
 Phialophora(以下P.)repensによる真菌性肉芽腫の1例を報告し,かつ,P.repensをとりまく菌学的な諸問題と近縁種による真菌症についても考察した.自験例は,63歳の男性の左手背に生じた表面淡紅色で隆起した皮下腫瘤で,組織学的には皮下組織内に巣状に形成された限局性の肉芽腫としてみられ,強い反応性の結合線維の増殖によって取り囲まれていた.個々の肉芽腫は,多核白血球からなる微小膿瘍を取り囲み,しばしばその中央には「顆粒」に類似の大小の菌糸塊が認められた.また,これらの微小膿瘍中には,遊離の短い菌糸も少数,あるいは場所によっては多数認められた.これらの菌要素は,HE標本では,大部分がほぼ無色であったが,なかには部分的に淡褐色を示すものも認められた.培養によりP.repensを得た.今日までに,本菌種によるヒトの感染例は海外で1例報告されているのみである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?